
ニューノーマル(新常態)では、どのようにして身の回りのものを操作するようになるのだろうか。増え続ける電子機器をコンタクトレスで清潔かつ便利に操作するための新たな提案が相次いでいる。これまで注目されていた車内など外出先での操作に加え、滞在時間が増えた家でのさまざまな機器のコンタクトレス操作が実現されようとしている。
新型コロナウイルスの感染拡大で多くの人々が自宅待機となり、デジタル機器の利用やコンテンツの消費が急増している。便利かつ清潔を実現するため、コンタクトレスの新しいテクノロジーが注目され始めている。
コンタクトレスでデジタル機器を操作する手段としてはここ2、3年、米アップルの「Siri」や米アマゾン・ドット・コムの「Alexa」など、人工知能(AI)を搭載した音声インターフェースが脚光を浴びてきた。ただし他人のいる場所で声で操作するのははばかられるし、あらじめ命令を知っておく必要がある。スマートフォンやパソコン、宅内に設置したカメラの画像を利用して身ぶり手ぶりを判別する方法もあるが、プライバシーを気にする場面もある。
これに対してコンタクトレスかつ直感的な操作を実現するための選択肢が出てきている。
例えば、英ロンドンのスタートアップSERGテクノロジーズは、非接触で操作できる新たなユーザーインターフェース(UI)の開発に取り組んでいる。SERGのクリストス・カパトスCEO(最高経営責任者)は「我々は機器やスマートデバイスなどと対話するための新しい方法を開発した」と胸を張る。
SERGの技術は、頭で考えた手ぶりの情報を基に、デジタル機器を操作することができる。現時点では単純な操作を実現している。例えば、手を動かすことでゲームのキャラクターがジャンプしたり、テレビのチャンネルを変えたりすることができる。
筋肉が動く際の微小な音を検知
これを実現しているのが、筋肉の動きを捕捉する技術だ。具体的には、筋肉が動く際の音をセンサーで認識し、意図した操作信号に変換して電子機器に伝えるというものだ。SERGのサムウェル・ウィルソンCTIOは「脳から命令を受けて筋肉が動く際にごく小さな低い周波数の音が生じる。それを拾い出す方法を発見して実現している」と説明する。
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