
ニューノーマル(新常態)時代の家はどうなるのか。日本人による住宅スタートアップが一から考え尽くした家が、シリコンバレーで完成した。デザインや設計と、IoTやAIのテクノロジー開発を一体で進める次世代型住宅のコンセプトが新型コロナ禍や新常態に合致した格好だ。米テスラの電気自動車のように、機能やサービスが進化し続けるのも特徴だ。
シリコンバレーの中心部から北東に車で1時間強、サンフランシスコ市から湾に架かる橋を渡って30分ほどのところに2020年6月、「HOMMA ONE」が完成した。
楽天の米国法人幹部も務めた本間毅氏が2016年に住宅スタートアップのHOMMAを起業。2018年4月から設計を始め、19年3月に基礎工事に着手した物件だ。新型コロナ禍のさなかに完成したが「当初から、在宅勤務がさらに進むと考えていた。家族が過ごす時間がこれまで以上に増えると考えて設計し形にしてきた」(本間氏)。
結果として次世代の在宅スタイルを先取り
HOMMAは2018年に既存住宅をオフィスとして改装し、IoT機能を実装した「HOMMA ZERO」を第1段階として取り組んだ。そして今回、第2段階として新築の「HOMMA ONE」を完成させた。
HOMMA ONEは1階が寝室や子供のプレールーム、2階全体がリビングダイニングになっている。1階と2階の間には、購入した食材や飲料を運べるミニエレベーターを備えた。リビングダイニングの一角にはPCなどで作業ができるワークスペースを用意している。ここから家族がリビングでだんらんしている様子を見たり、1階の子供のプレールームを確認したりできる。
米国では新型コロナウイルスの感染拡大でほとんどの学校が、Zoomなどを利用した遠隔授業に移行している。インターネットは必須だ。こうした背景からビジネス用途の無線LANを採用し、複数の中継アンテナを配置。ネット利用の死角をなくした。ビデオ会議サービスの利用増も見据え、今後は有線LANを配置することも検討するという。「長時間、住宅内で家族が一緒に生活することになった。今後その傾向は強まるが、気分転換も必要だ。住宅内もフリーアドレスで、どこでも仕事や勉強ができるような環境を提供する」(本間氏)
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