
米国の都市ではセキュリティーからトイレを気軽に利用するのが難しく、さらに清潔なトイレも少ない。そうした課題をテクノロジーで解決し、ほぼコンタクトレスで清潔なトイレを利用できるサービスが現れた。一方で接触しても清潔な紫外線の活用は、コンシューマー製品にも広がっている。
米サンフランシスコで創業したスタートアップのGood2Goは、スマートフォンで近くの清潔なトイレを探して利用を予約できるサービスを提供している。月額のサブスクリプションもしくは1回当たりの料金で利用できる。外出先でトイレを利用するのが意外と難しい米国ならではのアイデアと言える。
TOTOも出資し未来のトイレを探る
Good2Goは2017年にサービスを開始し、2019年夏には日本のTOTOの出資を受けた。TOTOは未来のトイレの姿を探るのが目的だ。全米の都市などに本格的にサービスを展開しようとしていた矢先、新型コロナウイルスの感染拡大が起こった。
Good2Goの創業者でCEO(最高経営責任者)のフラン・へーラー氏は「新型コロナウイルスの感染拡大で清潔なトイレに対する需要は急増している。サンフランシスコ以外の米国の都市や世界に展開していきたい。利用できる場所が増えれば便利になって、利用者が増えていくネットワーク効果を起こしていきたい」と言う。
サービスを利用するには専用のスマホアプリをダウンロードしたうえで、1回、1日、月単位のプランを選択する。それぞれ0.99ドル、2.99ドル、19.99ドルである。1カ月20ドルでトイレを利用し放題のサブスクリプションサービスと捉えることができる。1回0.99ドルであれば、カフェでトイレを使うためにコーヒーを3~4ドルで注文するのに比べれば安いと考えることもできる。
トイレに行くと非接触でオープン
Good2Goはスーパーやカフェを中心に対応トイレを増やし、サンフランシスコ市内の約15カ所で提供している。費用負担はケース・バイ・ケースだが、トイレを改装してIoT対応に転換する。スマホアプリからの信号で、予約した利用者が来ると自動でドアが開くようになる。トイレを出るときもセンサーに手をかざすだけでドアが開く。施設によってはスマホのカメラで、トイレの前にあるQRコードを読み込むことでドアが開く。
レジなしスーパーのAmazon Goのような「フリクションレス」と言える。スターバックスなど米国のカフェにあるトイレは、利用の際に店員から暗証番号を聞いてスマートキーに入力するのが一般的だが、その手間はない。
こうしたIoTの仕組みを導入することで、施設の所有者はトイレの1日の利用状況がデータで把握できるようになる。アプリでは利用後にトイレが清潔であったかどうかをフィードバックしてもらう。「そうした情報を施設と共有すれば、すぐに清掃したり備品を補充したりできるようになる。他の顧客も含めて、店舗の満足度向上につながる。これらは単にトイレの場所を地図で提供するだけでは実現できない」(へーラーCEO)。こうしてカフェなどの所有者が場所を提供してくれるようになった。
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