コンタクトレス・エコノミーがやってくる

新型コロナや将来やってくるであろう新たな感染症の拡大防止に向けて、テクノロジーを総動員して、「コンタクトレス(非接触)社会」に移行しつつある米国。それでもすべてを非接触化することはできない。そこで今、米国で注目を集めているのが、人が手や靴で触れる部分を殺菌・消毒する技術だ。中でも、「深紫外線」と呼ばれる、紫外域の中でも波長が非常に短い光による殺菌技術が脚光を浴びている。

抗菌・殺菌をうたう材料「NanoSeptic」でコーティングを施したホイールの電動バイク(出所/ホイール)
抗菌・殺菌をうたう材料「NanoSeptic」でコーティングを施したホイールの電動バイク(出所/ホイール)

 これまで右肩上がりで成長してきたシェアリングエコノミーが岐路に立たされている。新型コロナウイルスの感染拡大を機に利用者が急減。例えば、その代表格である配車サービス大手の米ウーバーテクノロジーズ(Uber Technologies)は、2020年1~3月期決算で、最終損益が29億3600万ドル(約3140億円)の赤字と、赤字幅は前年同期に比べて3倍近くに広がった。

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 世界中で実施された外出制限の影響が直撃した形だが、不特定多数の人々の利用を前提にするシェアリングサービスは、今後の「withコロナ」、「ポストコロナ」と呼ばれる時代では難しいかじ取りを迫られる。人々の間に、不特定多数の人が触れたモノに対して拒否感が生じているからだ。

 そんな中、新型コロナ対策に向けたある2つの取り組みが、ライドシェア業界で注目を集めている。1つは、電動バイクのライドシェアサービスを手掛ける米ホイール(Wheels Labs)が2020年3月に発表した対策だ。

 電動バイクのハンドルバーとブレーキバーに、米ナノタッチマテリアルズ(NanoTouch Materials)の抗菌・殺菌をうたう材料「NanoSeptic」でコーティングを施した。その効果や仕組みの詳細は不明だが、同社によれば、同材料に光が当たることで抗菌・殺菌効果を発現するという。そのため、同材料の効能成分は酸化チタンなどの酸化物による光触媒だとみられる。

自動タクシーに紫外線ランプ

体温測定装置と紫外線ランプを備えたロボタクシー「Apollo Robotaxi」(出所/バイドゥ)
体温測定装置と紫外線ランプを備えたロボタクシー「Apollo Robotaxi」(出所/バイドゥ)

 もう1つは、中国バイドゥ(Baidu、百度)のロボタクシーでの取り組みである。同社は、ロボタクシーに体温測定装置と紫外線ランプを装備させた。2019年9月から湖南省長沙市でレベル4の自動運転機能を備えたロボタクシー「Apollo Robotaxi」を45台利用した試験サービスを実施している。

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