
新型コロナウイルスの影響で、米国では2020年3月中旬から自宅待機命令が出されている。そうしたなかでも外出が許可されているのが食料品の買い出しだ。米ウォルマートや米アマゾン・ドット・コムなどの大手は、感染回避に向けてソーシャルディスタンス(社会的距離)を確保する一方で、店舗での非接触テクノロジーの採用に乗り出している。
未来の小売店舗はどうなっていくのか。新型コロナウイルス感染拡大の前から、米国では1つの方向性が見えてきていた。店舗は買い物をする場だけでなく、あらかじめ頼んでおいた商品を受け取る「ピックアップ」の場にもなりつつある。この動きは最大手の米ウォルマートを筆頭に2018年ぐらいから加速しており、今回の新型コロナウイルスの感染拡大で避けては通れないものとなった。
例えば、米マサチューセッツ州のロボットスタートアップのアラートイノベーションが提唱する「NOVASTORE」を見ると、近未来の小売店舗を一から考えたらどのようになるのかが想像できる。
1階は生鮮品を販売するレジレスの仕組みを採用した省人化の店舗である。そして2階は自動倉庫という構成だ。店舗の脇には車でピックアップできるエリアが用意されており、仕事の帰りに立ち寄って品物を受け取ることができる。
2階の倉庫には3つの機能がある。1つめは生鮮品以外のパッケージ食品や日用品などの自動倉庫である。2つめが従業員がピックアップ商品をコンテナボックスに詰めるハンドリング。そして最後の3つめがコンテナボックスを顧客が来るまで格納しておく倉庫機能である。コンテナボックスは人工知能(AI)を搭載したロボットが適切な場所に保管したり、取りに行ったりする。
NOVASTOREの特徴は1階に生鮮食料品のコーナーも設けていることだ。顧客が来店前や来店時にスマホから日用品など普段愛用している商品を注文。来店して生鮮食料品を選んでいるうちにこれらのパッキングを終了し、食料品とともにボックスを持って帰るというコンセプトだ。
アラートイノベーションのジョン・ラート創業者兼CEO(最高経営責任者)は「実店舗で鮮度の高い食料品を選びたいという消費行動は今後もなくならない」との見立てである。つまり感染を極力減らしつつ、顧客の買い物への欲求も満たすニューノーマル(新常態)だ。配送業者を確保すれば、店舗でEC(電子商取引)にも対応できる。
コロナ禍に先手を打ち続けるウォルマート
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