資生堂の新ブランドBAUM 「SDGs」と「顧客ニーズ」への対応両立(画像)

今や日本企業にとって避けて通れない「SDGs(持続可能な開発目標)」。だが、多くの企業はまだまだ手探りの状態だ。今回のSDGs特集のテーマは「廃棄物」。第1回はSDGsを巡る世界や市場の流れを概観し、家具工場で余った木材を容器に使った資生堂の新ブランド「BAUM」立ち上げの狙いを聞いた。

 新型コロナウイルスは、世界中で人々の「生活様式」を見直す契機になった。企業も、新たな働き方を従業員とともに模索するなど、これまでの「常識」を抜本的に見直す動きが広がりそうだ。

 実は、新型コロナウイルスよりも先に、人々の生活様式や企業の生産活動に見直しを迫っている大きなキーワードがある。国連サミットで2015年9月に採択された国際目標「SDGs(持続可能な開発目標)」だ。17のゴール・169のターゲットから構成され、2030年までの達成を目指している。

SDGs(持続可能な開発目標)には17のゴール、169のターゲットがある(出所/外務省ホームページ)
SDGs(持続可能な開発目標)には17のゴール、169のターゲットがある(出所/外務省ホームページ)

 これらの目標達成は容易ではない。いくつものイノベーションが不可欠だろう。だが、もはや避けて通れない課題でもある。

 例えば、「海洋ごみ」や「マイクロプラスチック」の問題がここ数年、世界中で一気に注目を集めた。これを受けて、プラスチック製ストローを廃止するなど「脱プラ」の動きがあっという間に広がった。この問題はSDGsでいえば「12 つくる責任 つかう責任」などに当たる。世界の著名企業が一斉に脱プラに動いた背景には、「SDGsにネガティブな企業である」と消費者に認識されたら企業価値を毀損する、という判断があったことは想像に難くない。

 日本でも2020年7月1日、スーパーなどでプラスチック製買い物袋の有料化が義務化される。これを見ても、SDGsが国内企業とも密接に関わっていることが分かる。

日本もSDGsへの対応を推進。2020年7月からプラスチック製の買い物袋の有料化が義務化されるのはその一環だ(出所/経済産業省ホームページ)
日本もSDGsへの対応を推進。2020年7月からプラスチック製の買い物袋の有料化が義務化されるのはその一環だ(出所/経済産業省ホームページ)

 SDGsについて、企業はリスク対応という面だけで捉えるべきではない。それは消費者の共感を呼び、ビジネスチャンスになり得るのだ。

 デロイト トーマツ コンサルティングは17年、SDGs関連ビジネスの世界市場規模を試算した。それによると、1から17の目標それぞれの関連ビジネスの規模は、約70兆~800兆円に上るという。

出所/デロイト トーマツ グループ:SDGsの各目標の市場規模試算結果(2017年)
出所/デロイト トーマツ グループ:SDGsの各目標の市場規模試算結果(2017年)

 先進的な日本企業はすでに対応を進めている。花王は20年4月、花王USAを通じて新ブランド「MyKirei by KAO(マイキレイバイカオウ)」の販売を開始した。花王が開発したフィルム容器「Air in Film Bottle(エアインフィルムボトル)」を初めて採用。樹脂の使用量をポンプ型ボトルに比べて約50%減らせる。今後は日本、欧州、その他アジア地域でも順次展開する。またMyKirei by KAOでは、米テラサイクルと共同で、使用後の容器を米国全土で回収・リサイクルできる仕組みを構築。プラごみの産業用途への利用促進を図っていくという。

花王が新たに投入した容器「Air in Film Bottle(エアインフィルムボトル)」(写真提供/花王)
花王が新たに投入した容器「Air in Film Bottle(エアインフィルムボトル)」(写真提供/花王)

 ただ、SDGsには前述の通り17のゴール・169のターゲットがある。非常に幅広い概念であり、企業にとってはどこから、どのように取り組めばいいのか、分かりにくいという声もある。そこで今回のSDGs特集では、あらゆる企業が関係する「廃棄物」をテーマに取り上げることにする。これからの時代のブランディングを考えれば、マーケターもデザイナーも商品開発担当者も、「捨てないこと」を念頭に置く必要がある。これはSDGsの「12 つくる責任 つかう責任」「14 海の豊かさを守ろう」「15 陸の豊かさも守ろう」などに対応する。

 本特集では、SDGs対応という文脈で廃棄物を減らしたり、廃棄物から新たな価値を生み出したりと知恵を絞る企業の取り組みを紹介していく。

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