カシオ計算機が2019年から展開する八角形のG-SHOCKが、世界的に支持を集めている。樹脂製ベゼルだった19年8月の「GA-2100」がヒットして、一部ファンが「カシオーク」と愛称を付けるほど人気に。21年8月に発売された金属ベゼル版の「GM-2100」も同年11月ごろまで品薄状態が続いた。ミニマルな形状にしつつもG-SHOCKらしさを失わなかったデザインの妙に迫った。
カシオ計算機の「G-SHOCK」といえば、1983年の販売開始以来、2020年までに世界累計1億3000万個以上を販売している超ロングセラーの腕時計ブランドだ。
G-SHOCKの最大の特徴は堅牢(けんろう)性で、ゴツゴツしたデザインを思い浮かべる人も多い。しかし最近売れているのは八角形ベゼルが特徴で比較的シンプルな「2100シリーズ」だ。19年8月に発売した樹脂製の「GA-2100」(税込み1万4850円から)が世界的にヒットし、2年経過した21年1~9月にもブラック系の「GA-2100-1A1JF」が全G-SHOCKの中で販売数が1位に。限定モデルも含めれば、12月までに計21種類が販売された。そして、定番化に拍車をかけたのが、21年8月に発売した「GM-2100」(税込み2万6400円から)だ。こちらは八角形のベゼル部分がステンレス製となる高級モデル。特に国内では入手困難になるほど売れ、11月ごろまでは通販サイトなどで高値で販売されていたほど品薄だった。
2100シリーズが売れたのは、G-SHOCKらしい個性を残しつつ、これまでにないスリムでシンプルな形状にできたからだと言える。しかも近年の新モデルとしては、比較的安価だった。では、なぜこのようなモデルができたのだろうか。
G-SHOCKの販売数は、多少の上下はあったものの、08年以降は基本的に右肩上がりで伸びていた。しかし10年代に入ると、スマホの普及などによる若者の時計離れが始まった。そのような潮流の中で「今の若い人たちに買ってもらえるG-SHOCKは何だろうか」(カシオ計算機技術本部デザイン開発統轄部第一デザイン部Gデザイン室の赤城貴康室長)という模索が始まった。
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