2017年末にリリースしたゲームソフト『ヒューマンフォールフラット』が、18年のNintendo Switchのダウンロード専用ソフト販売ランキングの年間1位を達成。21年6月リリースの『テラテック』も早速話題になるなど、ポーランドのゲーム企業の日本法人テヨンジャパンが日本で存在感を見せる理由に迫る。
ポーランドの古都クラクフ。ここに本社を置くインディー系ゲーム企業の日本法人テヨンジャパンが、日本ゲーム市場に旋風を巻き起こしている。
最大のヒット作は、2017年12月28日にリリースしたNintendo Switch用ダウンロード専用ソフト『ヒューマンフォールフラット』だ。ふにゃふにゃした動きをする主人公を操作し、オブジェクトをつかんだり、押したり、引いたり、運んだりしてパズルを解いていくアクションパズルゲーム。妙なプレー感覚を体験できる、つかみどころのない魅力を持つ不思議なソフトである。
すると、その独特なプレー感覚が日本のゲームユーザーの心をつかみ、口コミだけで評判を集めていった。18年のNintendo Switchのダウンロード専用ソフト販売ランキングの年間1位を達成。19年は2位、20年は4位と、長く安定したヒットを継続し、家庭用ゲーム機のダウンロード専用ソフトとしては異例となる80万本もの大ヒットゲームソフトになった。
20年6月には、その高い人気を受けて『ヒューマンフォールフラット』のパッケージ版の発売も実現。数年前まで誰も知らなかった東欧の小さな企業が、日本のゲーム市場にインパクトを与えた。
新作は機械しか登場しないサバイバルアドベンチャー
テヨンジャパンの快進撃はまだ続く。21年4月28日には『テラテック』をリリース。これは、荒野を旅するサバイバルアドベンチャーゲーム。しかし、そこに人間はおろか、あらゆる動物は登場しない。プレーヤーが操作するのは、パーツやブロックを組み合わせて作った小さなマシン。そして出現するのも敵マシンだけだ。
プレーヤーは敵マシンと戦い、その敵が落としたパーツやブロックを拾っていく。そして、それらを自分のマシンに装着してマシンを改造していく。こうして自マシンをパワーアップさせ、広大な世界を冒険していく。
最初は小銃だけを装備していただけの頼りないマシンは、ブロックを装着することで、いずれ全方位に大砲を発射できる巨大装甲車に改造することも可能。それどころか、ヘリコプターや飛行機のような航空機を作り、はるか遠くまで旅できるようになる。なんとも“男の子心”をくすぐる、他に類を見ないタイプのオープンワールドアドベンチャーゲームなのだ。これもまた、静かなブームを巻き起こしている。
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