国内ワイン最大手のメルシャンが2021年6月に発売した、サングリア系のノンアルコール飲料「MOCK Bar(モクバル)」が好調だ。発売から約2カ月半で、年間目標の5割に当たる約18万本を出荷。その鍵は250ミリリットルで300円強という価格が示す、アルコール飲料に匹敵する高級路線だった。
酒の代用品としてのノンアルコール(ノンアル)飲料市場では、ノンアルコールビール(ビールテイスト飲料)が約7割と圧倒的に規模が大きく、次にチューハイ系が1割強と続く。一方でワイン系のノンアルコール飲料のシェアは僅か0.8%しかない。そんな中、キリングループのメルシャンが2021年6月に発売した「MOCK Bar(モクバル)オレンジ&マンゴーmix」と「同 洋なし&パインmix」は、発売から約2カ月半となる9月上旬時点で18万本(1万5000ケース)を突破。既に年間目標本数の5割以上を売った。21年8月には同社のノンアルコール飲料の出荷本数が前年同期比で3.5倍を記録している。
モクバルはノンアルコールカクテルを意味する「Mocktail」(「mock」は「模造品」などの意味)と「Bar」(バル、酒場)を組み合わせた造語で、スペインやイタリアでよく飲まれているサングリアを基にしたノンアルコール飲料だ。本物のサングリアは赤ワインにスライスした果物や甘味料を入れて一晩寝かせたもの。一方モクバルは、複数のフルーツ果汁を混ぜてワインエキスやスパイス(シナモン、ミントなど)を加えた炭酸飲料となっている。
驚きなのは、250ミリリットルで313円(税込み)という実勢価格だ。一般的なノンアルコールビールより高いのはもちろん、同社の瓶入りサングリアである「ギュギュッと搾ったサングリア」(400ミリリットルで実勢価格550円・税込み)にも容量当たりの価格は迫っている。
商品を開発したメルシャン マーケティング部 国産グループ ブランドマネージャーの永谷洋平氏は「一般的なサングリアで使うフルーツは1~3種類だが、モクバルでは味の深みやぜいたく感を出すために計6種類のフルーツをミックスしている。この味のブレンドが意外に難しく、清涼飲料水の開発経験が豊富なキリンビバレッジの協力も得てようやく開発できた。また試作を100回以上繰り返したことやワインエキスの新開発などでもコストがかかっている」と値付けの理由の一端を説明する。
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