日産自動車(日産)が2021年6月に発表し、8月17日に販売開始した「ノート オーラ」が、発売から約3週間で受注が1万台を突破するなど、好調な出足を記録している。今や同社で最も売れている「ノート」から派生した高級車という位置づけだが、日産はどこに勝機を見いだしているのか。開発の狙いを聞いた。
日産自動車(日産)の「ノート」と言えば、2016年に電動パワートレインの「e-POWER」搭載車を発表して人気に火が付き、18年1~12月には登録車の月間販売台数1位を連続して獲得した、同社を代表するコンパクトカーだ。20年12月にはフルモデルチェンジを果たし、発売から約1カ月で月販目標台数(8000台)の約2.5倍となる2万台を受注する好調なスタートを切っている。
ところが日産はここでとどまらず、ノートをベースとした「ノート オーラ」(以下オーラ)を追加すると21年6月に発表した。価格は、既存のノートが202万9500~244万5300円(税込み)なのに対して、261万300~295万7900円(税込み)と50万円以上も高価だ。この価格はトヨタ自動車「ヤリス」、ホンダ「フィット」など国産ライバル車と比べても強気で、フォルクスワーゲン「ポロ」やプジョー「208」などの人気輸入車と競合するものだ。それでも、オーラの受注台数は21年8月17日の発売から約3週間で1万台を突破。本家ノートの台数に迫る勢いがあり、ヒットの兆しを見せている。
なぜ日産は、ノート発売から1年を待たずにオーラを追加したのだろうか。オーラ投入の理由を、日産自動車 日本マーケティング本部 チーフマーケティングマネージャーの丸地隆史氏は、「他社の投入モデルが少ないゾーンを狙ったプレミアムコンパクトカーとして企画。開発は新型ノートと同時に行った」と話す。同社がオーラで狙うのは、単なる“移動手段”ではない、もっと上質なクルマを求める40代後半から50代前半の世代だ。同社では、それまでもっと大きなクルマに乗っていた人の小型車への乗り換え(ダウンサイザー)が約半数になると想定している。これに対してノートは、利便性を求める50代後半が中心で、同クラスの小型車や軽自動車からの乗り換えが7割近くを占める。ノートとオーラではかなり客層が異なるのだ。
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