2021年2月に発売されたゲームソフト「リトルナイトメア 2」(バンダイナムコエンターテインメント)が、発売1カ月足らずで世界100万本のヒットを記録した。せりふは一切無く、「悪夢のようなゲーム」と形容したくなるような斬新なジャンルの不思議なゲームは、なぜ売れているのか。
「リトルナイトメア 2」は、スウェーデンのゲーム会社・Tarsier Studiosが開発し、バンダイナムコエンターテインメントが発売するサスペンスアドベンチャーゲーム。PlayStation4やNintendo Switch、PCなど幅広いハードに対応する。2017年に発売された第1作が全世界500万本のヒットを記録したのに続き、21年2月に発売された第2作となる本作は、バンダイナムコエンターテインメントヨーロッパが主導したタイトルでは初めて、発売1カ月足らずで販売100万本を突破した。
そんなリトルナイトメア 2は、「悪夢のようなゲーム」と形容したくなる斬新なジャンルのゲームだ。ただし、基本構造は昔ながらの横スクロールゲームに近い。途中にある様々な罠(わな)や、襲ってくる敵の目をかいくぐって進んでいくだけだ。
「悪夢のような」と形容したくなる理由は、モノクロに近いトーンでぼんやりと描かれるゲーム画面にある。ここが現実なのか、それとも架空の世界なのか明示されないままゲームは進んでいく。何しろこのゲーム、セリフが一切存在しない。それどころかボタン操作を解説するためのものを除くと、文章すら一切表示されないという徹底ぶりだ。
世界全体がぼんやりと描かれるため、プレーヤーは自然と明るい方へと進みたくなる。この「明るい方が安心できる」という人間の心理を利用し、プレーヤーは正解のルートへと導かれていく。いずれ、ぼんやりと描かれた世界の中で、ちょっとだけ目立つように配置されたギミックに目がいくようになり、「このひもは登れそうだ」「このアイテムは押せそうだ」と分かってくる。
基本的には右へ進めばいいという横スクロールゲームの伝統を踏襲しているため、何も説明が無くても、世界中のプレーヤーは「どうすればいい?」と悩むことなくゲームが楽しめるのだ。それをうまく活用して、全く言葉に頼ることなく、プレーヤーにヒントを与えていくゲームデザインが抜群にうまい。うす暗いグラフィックが持つ特徴を巧みに利用しているのは称賛に値する。
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