2021年2月発売の最新型ロボット掃除機「ルンバ i3+」の売れ行きが好調だ。これまで15万円前後のプレミアムモデルだけが搭載していたゴミを自動吸引する「クリーンベース」を付属しながら、10万円を切る価格設定。コストダウンを図りつつも、最新機能の採用や都市で暮らすヤングファミリー層が好むデザインなど絶妙な味付けも手伝って、ステイホーム生活を続ける今どきの消費者心理にうまく働きかけることに成功した。

アイロボットジャパンが21年2月に発売した「ルンバ i3+」。実勢価格9万9800円(税込み)
アイロボットジャパンが21年2月に発売した「ルンバ i3+」。実勢価格9万9800円(税込み)

 コロナ禍でテレワークが浸透し、多くの消費者がステイホームを前提とした暮らしを続けている。その結果、在宅時間が長くなったことで、自宅を清潔に保つのに役立つ家電製品への興味・関心が高まっている。代表格が掃除機で、2020年度(20年4月~21年3月)の市場規模は前年度から約11.8%(数量ベース、日本電機工業会調べ)成長している。

 ここ数年、掃除機の主力はコード付きのキャニスター型から、手軽に取り出してさっと掃除がしやすいコードレススティック型と、共働き家庭の増加などを背景に外出時に自動で掃除をしてくれるロボット掃除機へと移りつつある。外出機会は減ったものの、短時間で確実に掃除をしておいてくれるロボット掃除機の需要は落ち込むどころか、成長を続けている。

 ロボット掃除機の代表格である「ルンバ」を手掛けるアイロボットジャパンでは、「20年は売り上げが前年比20%増と、過去に例を見ない成長となった」(マーケティング本部プロダクトマーケティング部部長の山内洋氏)。床拭きロボット「ブラーバ」シリーズを含めた同社のロボット掃除機の国内累計出荷台数は16年に200万台、18年9月に300万台となり、20年末には400万台に到達した。コロナ禍でも順調に伸び続けている。

「プレミアム」と「普及」の谷間を埋める戦略モデル

 同社が21年2月に発売した最新型の「ルンバ i3+」は、これまで「ルンバs9+」(実勢価格・税込み18万6780円)や「ルンバi7+」(同14万2860円)などプレミアムモデルだけが搭載していた、ゴミを自動吸引する「クリーンベース」を付属しながら、10万円を切るのが特徴。クリーンベースは掃除を終えたロボット掃除機が自動で戻って待機するホームベースの一種で、充電と同時に本体ダストケースからゴミを自動的に紙パックに吸い上げる。最大60日分のゴミをためておけるので、ダストケースを毎回開け閉めする手間や手が汚れる心配もなく、2カ月に一度、紙パックを捨てるだけで済むのがメリットだ。

 ロボット掃除機は近年、自宅を留守にしている間に掃除を済ませて手間を省きたいと考える消費者によって売り上げを伸ばしてきた。在宅時間が長くなり床に散らばる細かなゴミが増えやすいステイホームの時代になり、クリーンベースがあった方が暮らしの手間をより省けるとして、食指が動いた消費者が増えたようだ。

従来のルンバシリーズはピアノブラック調が多かったが、 i3+はグレー調。トップ部もファブリック風のデザインを初めて採用した
従来のルンバシリーズはピアノブラック調が多かったが、 i3+はグレー調。トップ部もファブリック風のデザインを初めて採用した

 山内氏は、「ロボット掃除機の購入のきっかけで一番大きいのが、引っ越しのタイミング。そこでi3+では、結婚や転職、転勤などでライフステージが変化しやすいヤングファミリー層を狙い撃ちにすることにした」と語る。s9+やi7+などのプレミアムモデルの購入者は40~50代の比較的高所得者層が中心。一方、実勢価格5万円(税込み)を切る普及モデル「ルンバ e5」は一人暮らしの20代が中心。両者の中間の位置付けで、都市部でマンションに暮らすヤングファミリー層が求める機能や性能を厳選して搭載しつつ、買い求めやすい価格とした。

i3+の裏面。独自のゴム製のデュアルアクションブラシが、フローリングからカーペットまで様々な床に密着してチリやホコリを吸引する。写真右上の穴の部分に、後述するフロアトラッキングセンサーを内蔵している
i3+の裏面。独自のゴム製のデュアルアクションブラシが、フローリングからカーペットまで様々な床に密着してチリやホコリを吸引する。写真右上の穴の部分に、後述するフロアトラッキングセンサーを内蔵している

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