大手旅行会社のエイチ・アイ・エス(HIS)が2020年4月から始めた、オンラインで海外旅行を疑似体験できる「オンライン体験ツアー」が利用者数を伸ばしている。21年3月までの約1年間で延べ6万人が参加。1開催で約450人を集めた人気ツアーも生まれた。短期間で1100種類以上のツアーを生み出せた背景とは。

ハワイのオンライン体験ツアーのイメージ。現地ガイドの解説をZoomで視聴するのが基本スタイル
ハワイのオンライン体験ツアーのイメージ。現地ガイドの解説をZoomで視聴するのが基本スタイル

 連休の初日はインドで有名占師の話を聞き、次の日はイスタンブールで猫の写真を撮りまくる――。そんな、現実にはあり得ないような海外の楽しみ方が可能な“オンライン旅行”の市場が活況を呈している。大手旅行会社ではエイチ・アイ・エス(HIS)が2020年4月にいち早くスタートさせ、現在はJTB、ANAトラベラーズ、日本航空、阪急交通社など様々な旅行会社が参入している。

 その中で、最も存在感を示しているのがHISの「オンライン体験ツアー」だ。21年4月15日時点で1179件のツアーが予約可能で、そのほとんどが有料。1日で450人が参加した「世界の初日の出を拝もう【世界6都市】2021元旦 ライブ中継」のようなヒットツアーも生まれ、これまでに計6万人以上が参加している。21年1~3月に10都府県を対象に緊急事態宣言が発令されたときには、特に予約が伸びたという。

 今楽しめるオンライン旅行はどのようなものか。HISのオンライン体験ツアーの場合、料金は数百円から5万円を超えるものまで多種多様だが、2000~4000円で60~90分間のツアーが多い。参加したいツアーの種類と日付を指定して申し込むと、オンライン会議システム「Zoom」でのアクセス方法を記したメールが届く。指定時刻にZoomを開くと、現地ガイドが街を歩いて映像を配信しつつ解説をしてくれるのが一般的。外出規制中の都市では録画映像の場合もある。ツアー参加者がチャットで送った質問にその場で答えてもらえるなど、一定の双方向性があるのが、単なる映像配信との大きな違いだ。

シンガポールのオンラインツアーのイメージ。Zoomの画面でこのような映像が見られる。現地ガイドはイヤホンを付けており、参加人数によっては質問にも答えられる
シンガポールのオンラインツアーのイメージ。Zoomの画面でこのような映像が見られる。現地ガイドはイヤホンを付けており、参加人数によっては質問にも答えられる

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