世界中のプレーヤーと「ダーツ」の通信対戦ができるアプリ「ダーツライブホーム」が、熱心なファンの間で急速に支持を集めつつある。Bluetooth対応の専用ダーツボードを活用する仕組みで、ダーツバーに置かれている業務用マシンに近い基本機能をアプリ上で忠実に再現した。
「ダーツライブホーム」は、「01」「クリケット」といった正式なダーツの対戦モードを選ぶと、世界中のプレーヤーとリアルタイムにマッチングするサービスだ。スマホやタブレットに入れたアプリ(無料)と、専用のダーツボードを組み合わせて使う。いざ対戦が始まると、自宅に設置したボードに向かって交互にダーツを投げ合ってプレーする。
人気の秘密は、双方の自宅に置かれたボードに刺さったダーツの位置データは逐次センター側に送信されるため、ダーツバーでプレーするのと遜色ない対戦ができること。グラフィックやサウンドも業務用マシンと似通っており、臨場感たっぷりの演出で試合を盛り上げてくれる。
コロナ禍により、全国のダーツバーも軒並み休業や営業時間の短縮を余儀なくされ、ダーツファンはこの1年でプレーする機会が大幅に奪われた。こうしたファンの悩みに応えるべく立ち上がったのが、業務用のダーツマシン「ダーツライブ3」などを手掛ける、セガグループのダーツライブ(東京・品川)。「ダーツにはスポーツとエンターテインメントの両面がある。以前から、オンラインならではのエンタメ性を高める手立てを検討していた。ファンがオフラインでプレーしにくくなった1回目の緊急事態宣言を受けて、一気にかじを切るべきだと判断。全社のリソースを総動員して2020年5月に、まずベータ版としてリリースした」(執行役員DLサービス戦略本部本部長の宮崎誠氏)という。
ダーツボードの売り上げが一時4倍に
その読みは、すばり的中した。ダーツライブホームのコンセプトは、ダーツバーでプレーするのと同じ体験が自宅でできる本格派であること。業務用マシンと同等レベルの使い勝手の再現に徹底的にこだわったことが受け、ベータテストの実施を告知したところ、延べ1万人以上が手を挙げて参加した。プレーに欠かせない専用ダーツボードは以前から販売しており、価格が約2万4800円(税別)と決して安くはなかったにもかかわらず、直後に売り上げが通常の4倍以上に急増した。一時、完売状態が続いたほどだ。
20年12月の正式版リリース後は、勢いはさらに加速した。21年1月に2度目の緊急事態宣言が出されると、再び巣ごもり生活が続くとあって飛びつくファンが相次いだ。利用者の増加により、いつつないでも対戦可能な相手が見つかりやすくなり、「直近では1日当たりのプレー回数がベータ期間中の7倍に膨れ上がっている」(サービス開発チームマネージャーの豊田勝氏)という。
ダーツライブホームは、結果としてファンとの「日常的な接点づくり」というダーツ業界が長年抱えていた課題も解決しつつあるようだ。ダーツ人口は国内に約600万人いるとされる。ただその大半は、年に1~2回、飲み会の2次会などでたまたま入ったダーツバーで遊ぶ程度の入門者だ。ダーツ好きを公言する人であっても、週に1~2回ダーツバーに通う人がほとんどとされる。業界が明るい将来を描くには、入門者や初心者、初級者を熱狂的なダーツファンへといざなう手立てが必要だった。
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