1回数百円で、何が出てくるか回してみないと分からないワクワク感が味わえ、シリーズ商品をコンプリートする楽しさも魅力のカプセルトイ。バンダイが展開する「ガシャポン」が新たに、1回最高2500円という高級ブランドを始動させた。近年激変しているガシャポンの背景には、購買層の変化がある。

プレミアムガシャポン第1弾商品となる「ちまっ! きゃら 鬼滅の刃1」。細かい彩色の再現も特徴。全3種
プレミアムガシャポン第1弾商品となる「ちまっ! きゃら 鬼滅の刃1」。細かい彩色の再現も特徴。全3種

 球状の商品がそのまま出てくるカプセルレス構造を採用し、全長約6.5センチメートルと2017年当時のガシャポン史上最大級のサイズを実現。1回500円(税込み、以下同)の“高級ガシャポン”で度肝を抜いた「エクシードモデル ザクヘッド」(バンダイ)の発売から約4年。バンダイが21年1月末、1回最高2500円という高価格帯ブランド「プレミアムガシャポン」を始動させた。

 第1弾「ちまっ!きゃら 鬼滅の刃1」は、全長約7.4センチとザクヘッドを超える巨大サイズ。計画を上回る売れ行きで、バンダイ・ベンダー事業部の近藤創氏は、「鬼滅の刃人気も追い風に大変好評で、1回800円という価格も抵抗感なく受け入れられた。ブランドとして順調な出だし」と言う。

 1回1500円の第2弾「アルティメットルミナス 孫悟空」は全長約10センチとさらに大きく、力強いポーズを立体化した。“かめはめ波”の部分には、光るようにLEDまで内蔵されている。第3弾「アルティメットルミナス 仮面ライダーセイバー」は、内蔵パーツを組み立てることで、サイズは何と全長約14.5センチにまで上る。まずは根強いファンのいるキャラクター商品から展開し、ブランドの定着を狙う格好だ。

1回2500円までのガシャポンを販売できるようになった、プレミアムガシャポンの自販機
1回2500円までのガシャポンを販売できるようになった、プレミアムガシャポンの自販機

 従来のガシャポン商品の販売上限額は500円。この「価格の壁」を破ったことで、21年2月時点で発表されている第3弾までの商品のように、「大きくしたり、精巧にしたり、これまでには無いギミックを搭載したりと、商品開発の可能性がグッと広がった」(近藤氏)。第3弾までの最高額は1500円だが、将来的にはプレミアムガシャポンの上限額となる2500円の商品展開も視野に入れている。ガシャポンの概念を破る斬新な商品が続々と登場しそうだ。

 これまで上限額が500円だったのは、ガシャポンの自販機の影響だった。従来の自販機のアナログな硬貨判別機能では、500円硬貨を海外の同サイズの硬貨と識別することができないため、不正使用される可能性があった。今回、電子的に硬貨をセンシングする機能を導入したことにより、500円硬貨4枚+100円硬貨5枚を受け入れられるカプセルトイ自販機を開発。プレミアムガシャポンの開始に至った。

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