流行開始から1年を迎え、まだまだ収束時期の予測すらつかないコロナ禍。閉塞感のあるマスク生活の中、メイクの楽しみを奪われた女性たちのオシャレゴコロに、「マスクで小顔メイク」という火を灯したのが「ケイト マスク」だ。2020年末の発売直後からSNSで話題となり、約1週間で完売したという。そのヒットの理由を探った。
コロナ禍でメイク用品の需要が落ち込む中、2020年末にカネボウ化粧品のコスメブランド「KATE」が数量限定で発売した「ケイト マスク」が瞬間蒸発し、KATEブランド全体を押し上げる好事例となった。SNSでの反響は大きく、「本当に小顔に見える!」「天才か!」と瞬く間にクチコミが拡散。発売日の12月15日の昼ごろにはTwitterでトレンド入りも果たした。同社はSNSでのクチコミ数を集計しているが、20年12月のクチコミ数は前年同月比138%の伸長を見せ、過去最高記録を達成したという。マスク自体も発売直後から店舗やECでの売り切れが続出し、約1週間で完売。「20年12月はKATEブランドサイトへの誘因数、ウェブ検索数ともに前年同月比250%を記録し、ブランド全体の再評価にもつながった」と花王の化粧品事業部門マステージビジネスグループでKATEを担当する河村有香氏は語る。
しかし、なぜここへきてコスメブランドであるKATEがマスクを発売したのか。河村氏と同部署で同じくKATEを担当する若井麻衣氏は、「外出時にマスク着用が不可欠になり、女性たちから『これまでのようにメイクを楽しめない』『口紅を使わなくなった』という諦めに似た声が多数のぼるようになったことがきっかけだった」と振り返る。「もちろん、どんな状況でもメイクを楽しみたいという人はいて、そういった層によってマスク着用時に目元を際立たせる“マスクメイク”がはやりはしたものの、『メイクに気合が入らない』『メイクそのものを諦めた』という女性も少なくなかった。それならマスク自体もメイクの一部と捉えて楽しめるようなものをKATEで開発してしまおうと着手した」(若井氏)。
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