コロナ禍でマスク着用を余儀なくされる中、2020年は化粧品の需要が低迷。業界全体に逆風が吹き荒れたが、それでも20年3~12月の売り上げが前年同期比150%超を記録したのがSHIROだ。巨大メーカーがひしめく化粧品業界で、なぜ独立系ブランドが驚異の伸びを見せたのか。その秘密を探った。

20年12月18日にリニューアルオープンした表参道本店。売り場面積を従来の約3倍に増床し、同社が販売する化粧品に使用されている酒かす、がごめ昆布など約70種類の素材が展示されている
20年12月18日にリニューアルオープンした表参道本店。売り場面積を従来の約3倍に増床し、同社が販売する化粧品に使用されている酒かす、がごめ昆布など約70種類の素材が展示されている

 2020年、新型コロナによる打撃を受けた主な業界の一つが化粧品だ。マスクを一日中着けていることが当たり前となり、メイク用品の需要は激しく落ち込んだ。しかし、そんな中でも強さを見せたのが独立系化粧品メーカーのSHIROだ。大手が苦戦を強いられるさなか、SHIROの20年3~12月の売り上げは前年同期比154.3%という驚異的な数字を記録した。

 好調をけん引するのは、50種以上あるフレグランス系商品だ。スキンケアやメイク用品を抑えて売り上げの過半数を占めており、オードパルファンから練り香水、さらにはルームフレグランスまで商品展開が幅広く、香り自体もサボンなどスタンダードなものからアールグレイなど変わり種まである。特に限定で発売される香りはすぐに売り切れてしまうほど人気のものもあり、購入できなかった人は翌年の購入を狙うため、争奪戦の模様は年々激しさを増している。実際、20年9月24日にオンライン予約が開始された「キンモクセイ オードパルファン」は、箱なしの製品が15分程度で、箱ありの通常製品も1時間たたないうちに完売。9月8日にはSNSやホームページ上で発売の告知がされていたため、予約開始を待ち構えていた人や、「買えた!」と話題にする人がその瞬間に急増したことで、「#SHIRO」はTwitterのトレンド入りも果たした。12月18日にリニューアルオープンした表参道本店で限定発売された「SHIRO PERFUME WISHING WELL」も好評で、翌日には完売したという。

オンラインの予約開始後、すぐに売り切れた「キンモクセイ オードパルファン」。金木犀をイメージした毎年人気の香り
オンラインの予約開始後、すぐに売り切れた「キンモクセイ オードパルファン」。金木犀をイメージした毎年人気の香り

 SHIROの製品に共通する特徴は、実際に食べられるほど安全な素材を使用していること。「自分たちが毎日使いたいものを作りたい」という信念のもと、「酒かす化粧水」や「がごめ昆布美容液」など素材の名前を分かりやすく商品名に入れたものもある。質の高さがSNSなどの口コミで拡散される一方、新製品を毎月発売するなど製品ラインアップのバリエーションにもこだわり、ファンを飽きさせることなく、じわじわと顧客を拡大してきたのだ。SHIRO専務取締役の福永敬弘氏は、「あくまでプロダクトが原点なのはブランド設立当初から変わらない。様々な個性を持つブランドがひしめく中、余計なものは削ぎ落とした、SHIRO独自のシンプルな世界観には強みがあると思っている」と語る。しかし20年、SHIROが大きく業績を伸ばしたのには、これまでにない新しい挑戦をしたヒット商品の存在があった。

SHIROの専務取締役・福永敬弘氏
SHIROの専務取締役・福永敬弘氏

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