新型コロナウイルス感染拡大の影響で苦戦する小売店が目立つ中、2020年2月に日本橋三越本店にオープンした「ビックカメラ 日本橋三越」が大健闘している。緊急事態宣言明けの6月には、計画を2割上回る売り上げを達成。オープン7カ月後の9月18日には1.7倍に増床した。成功の鍵は、ビックカメラの流儀を一部改め、百貨店の販売スタイルを採り入れたことにある。
ピシッとしたスーツ姿の販売員が、三越流の丁寧な接客でテレビや掃除機を客に勧める――。今までの家電量販店のイメージを覆すユニークな店舗が、日本初の百貨店として110年以上の歴史を誇る日本橋三越本店の中にある。家電量販店で売り上げ2位のビックカメラが、2020年2月にオープンした「ビックカメラ日本橋三越」がそれだ。
店舗は日本橋三越本店の新館6階にあり、売り場面積1200平方メートルと、ビックカメラとしてはかなり小さい。店内は白を基調とした少しオシャレな空間となっている。店内に流れているのもおなじみのアップテンポな「ビックカメラテーマソング」ではなく、同曲を落ち着いたジャズバラード風にアレンジしたオリジナルバージョンだ。もちろん赤いベストの販売員が元気よく声かけするような光景はどこにも見られない。
ビックカメラ日本橋三越店長の橋本賢太氏は、「緊急事態宣言中はもちろん落ち込んだが、6月には売り上げで計画を2割上回ることができた。その後も計画値は上回り続けている」と足元の業績を説明する。ビックカメラ全体では「他店舗の6月の売り上げは、おおむね計画通り」(ビックカメラ 広報・IR部)という。それだけに、ビックカメラ三越日本橋の実績が際立っている。好調を受けて同店は、9月18日には店舗面積が約1.7倍になる増床リニューアルを敢行した。オープンから7カ月で増床に踏み切ったことからも、期待の大きさが垣間見える。
売り上げが計画以上に伸びたのは、開店前にビックカメラが想定していた2本柱のうちの1つが順調に機能した結果のようだ。
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