ソニー損害保険が2020年3月に販売開始した自動車保険の新商品「GOOD DRIVE」は、自動車保険でありながらモビリティーサービスの顔も併せ持つ。AI(人工知能)技術で運転を「見える化」し、安全運転の度合いにより実質保険料が最大30%安くなる点に特徴がある。事故リスクを減らせる効果も期待できるとあって、注目度を高めている。

ソニー損保の「GOOD DRIVE」は、専用アプリをインストールしたスマホで運転特性データを計測する
ソニー損保の「GOOD DRIVE」は、専用アプリをインストールしたスマホで運転特性データを計測する

 GOOD DRIVEは、スマートフォンで計測した「運転特性データ」からドライバーの事故リスクを推定し、結果に応じて保険料を5~30%キャッシュバックする新タイプの自動車保険。ソニー、ソニー損保、ソニーネットワークコミュニケーションズが共同で開発した。

 ソニーは約4000億円を投じて、保険を含む金融事業をTOB(株式公開買い付け)により近く完全子会社化する方針を打ち出している。GOOD DRIVEは、ソニーが持つ技術とソニー損保が持つ保険開発のノウハウとを組み合わせて誕生した、まさにグループシナジーを追求する先駆け的なサービスと言える。実質保険料が安くなるという分かりやすいメリットに加え、近年とみに高まっている安全運転に対する社会的要請にも応える新たなテレマティクス保険というわけだ。

 運転特性データは、専用のデバイスとスマホアプリを使って計測する。契約者は専用デバイスをクルマのアクセサリーソケットに挿入し、自前のスマホに専用アプリをインストールするだけでよい。運転を開始すると、デバイスが発信する電波をアプリが受信し、自動でデータの計測を始める。「アクセル操作」「ブレーキ操作」「ハンドル操作」「走行中のスマホ操作」といった運転特性を、スマホが内蔵する「加速度センサー」「ジャイロセンサー」「GPSセンサー」を活用して測る。ここで、ソニーのセンシング技術やデータ分析技術の強みが大いに生かされている。

ソニー損保から契約者に提供される専用デバイス(左)。アクセサリーソケットに挿入した専用デバイスは、エンジンの起動に連動してBluetooth信号をアプリに送る(右)
ソニー損保から契約者に提供される専用デバイス(左)。アクセサリーソケットに挿入した専用デバイスは、エンジンの起動に連動してBluetooth信号をアプリに送る(右)

 スマホの置き場所や向きは問わず、走行中のクルマの中に置かれていればよい。ドリンクホルダーに挿してあっても、運転者のシャツのポケットに入れっぱなしでも、助手席に置いたバッグの中でも構わない。ソニーが独自開発したAIアルゴリズムが、スマホセンサーのデータを基にクルマの挙動を検出している。

独自アルゴリズムでクルマの挙動を見極め

 「独自アルゴリズムは、実際に運転した走行データとスマホの測定データを照らし合わせ、AIラーニングによって開発した。クルマの動きなのか、運転とは関係ないスマホの慣性の動きなのかを見極め、データからクルマの挙動の部分だけを抽出できる」(ソニー損保・マーケティング部門ダイレクトマーケティング部部長の石井英介氏)

スマホセンサーの測定データからクルマの挙動を抽出(推定)するAIアルゴリズムがGOOD DRIVEの要の1つ
スマホセンサーの測定データからクルマの挙動を抽出(推定)するAIアルゴリズムがGOOD DRIVEの要の1つ

 計測した運転特性データと、ソニー損保が保有する契約者数千人分の運転挙動データや実際の事故データとをひも付けたうえで、ビッグデータ解析による予測モデルを適用して「事故リスク」を定量化する。こうして契約者それぞれの「運転スコア」を導き出し、専用アプリ上に点数を表示する(100点満点)。はじき出した運転スコアに応じて保険料のキャッシュバック率が決まる仕組みだ。

 運転中にスムーズなアクセル・ブレーキ操作やハンドル操作を心掛けるとスコアは向上し、逆に必要性の低い急加速や急ブレーキ・急ハンドルが多かったり、走行中にスマホをいじったりするとスコアは低下する。

運転スコアの表示画面。スコアのランクごとにデザインが異なる
運転スコアの表示画面。スコアのランクごとにデザインが異なる
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