永守重信イズムで変革に挑む京都先端科学大学の挑戦を追う本連載。第2回は、引き続き、現場を率いる学長の前田正史氏による改革に迫る。学部長の全面刷新、教授陣のテコ入れの次に取り組んだのが、“学生改革”だ。永守氏のいう「即戦力」をどう生み出すか、学生を奮い立たせる仕組みとは。

前田正史氏。京都先端科学大学学長。1981年、東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。工学博士。東京大学生産技術研究所教授、所長を経て、2009年、東京大学理事・副学長就任。15年、日本電産生産技術研究所初代所長に。19年、京都先端科学大学学長に就任。著書に『大学の自律と自立』(丸善)、『“Advanced Physical Chemistry for Process Metallurgy”』(1997 Academic Press. N. Sano, Wei-Kao Lu, Paul V. Riboud, and M. Maeda 共著)などがある
前田正史氏。京都先端科学大学学長。1981年、東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。工学博士。東京大学生産技術研究所教授、所長を経て、2009年、東京大学理事・副学長就任。15年、日本電産生産技術研究所初代所長に。19年、京都先端科学大学学長に就任。著書に『大学の自律と自立』(丸善)、『“Advanced Physical Chemistry for Process Metallurgy”』(1997 Academic Press. N. Sano, Wei-Kao Lu, Paul V. Riboud, and M. Maeda 共著)などがある

 各学部を率いる学部長として日本中から“変人”を、そして教授陣には熱意ある若手をかき集め、社会で実践的に活躍できる人材を育成するためのカリキュラムも用意した(詳細は連載第1回「カリスマ経営者永守氏と元東大副学長がタッグ 『大学を壊す!』」)。つまり、優秀な指揮官と必要な武器をそろえた。その後に前田氏が取り組んだのが、士気を上げること。すなわち、学生の意識を変革させることだ。

 その象徴ともいえるのが、海外インターンシップ制度。永守氏が経営しているという強みから、世界44カ国に広がる日本電産グループ網をフルに活用する。さらに、大学職員として海外へのコネクションを持つ専門スタッフを新たに採用し、海外に実際に足を運んで企業を開拓。その結果、日本電産以外にも約20社の海外企業と提携にこぎ着けた。募集は就活生に限らない。入学して間もない1年生もやる気さえあれば応募が可能で、教職員がスクリーニングをかけ、徹底した面接教育を実施。ビジネスマナーや目標設定など、全面的にサポートをしたうえで、1人で2週間の実習に臨む。永守イズムの薫陶を受けた第1世代ともいえる2019年度は1~3年生の8人が参加し、5カ国に分かれて引率者もいない中でチャレンジ。管理業務や営業同行などの実務を経験し、学外の人を呼んだ報告会では学生たちが英語で堂々とプレゼンをした。

 海外インターンシップで世界やビジネスの現場に実際に飛び込むことで、早い段階から社会に必要な要素が何かを痛感させるのが狙い。社会に出たときのイメージを持てるかどうかで、学生時代の学びの姿勢も大きく変わってくる。「参加した学生たちの勉強と社会に対するモチベーションはぐっと高まった」と前田氏も大きな手応えを感じている。

米国や欧州、アジアなど、世界各国へ飛んで就業体験ができるインターンシップ制度を用意。日本電産も協力する
米国や欧州、アジアなど、世界各国へ飛んで就業体験ができるインターンシップ制度を用意。日本電産も協力する

「キャップストーン」で実践力教育の総仕上げを

 もう一つ、学生に社会を意識させる斬新な取り組みがある。工学部で導入した、日本初の「キャップストーン」制度だ。卒業研究の代わりに、3年次に50社以上の企業から課題を募り、学生たちはチームで解決策に挑む。いわば長期にわたるインターンともいえる取り組みだ。

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