『2025年、人は「買い物」をしなくなる』(クロスメディア・パブリッシング)の著者でD2C(ダイレクト・トゥー・コンシューマー)コンサルタントでもある望月智之氏が、毎回ゲストを招いて「デジタル×新しいビジネス×未来の買い物」を語り合う対談企画。今回は、農薬不使用の「食べられるバラ(ばら)」の栽培から商品開発、販売まで一貫して提供しているROSE LABO(埼玉県深谷市)の田中綾華社長に、バラに特化した商品でヒットを生み出す秘訣について聞いた。

※本企画は、ニッポン放送のラジオ番組「望月智之 イノベーターズ・クロス」との連動企画です。
田中綾華(たなか・あやか)氏(左)
ROSE LABO代表取締役
1993年生まれ、東京都出身。大学を2年次に中退後、大阪の食用バラ農家にて修業。2015年に独立し「“食べられるバラ”を通して世界中の女性を美しく、健康に、幸せに」を理念にROSE LABOを設立。“食べられるバラ”の栽培、バラを配合した加工食品や化粧品などの商品開発、販売を行う「6次産業」の農家として、講義、セミナーなども行っている。19年、「マイナビ農業アワード」などで最優秀賞を受賞

望月智之(もちづき・ともゆき)氏(右)
いつも取締役副社長
東証1部上場の経営コンサルティング会社を経て、いつもを共同創業。同社はEコマースビジネスのコンサルティングファームとして、数多くの企業に戦略とマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費の専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、ブランド企業に対するデジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。『2025年、人は「買い物」をしなくなる』(2019年)、『買い物ゼロ秒時代の未来地図―2025年、人は「買い物」をしなくなる〈生活者編〉』(21年、いずれも クロスメディア・パブリッシング)を出版

40~60代女性の「ご自愛」ニーズを捉えたバラ商品

望月智之(以下、望月) ROSE LABOは2015年の設立以来、自社で食用のバラ農園を運営しながら、バラを使った商品の企画から製造、販売まですべてしていますよね。バラは誰もが知っている花で、「美しい」や「高貴」といった共通したイメージがあります。一方で、その効果効能など、機能や便益についてはそれほど知られていません。今日はそのような商品を、どのようにして市場に届けているのかについてお聞きできればと思います。まず販売している商品ですが、食用バラだけではなく、バラを加工したさまざまな商品を展開されていますよね。

田中綾華(以下、田中) はい。ROSE LABOでは食用バラだけではなく、バラを使ったスキンケア、ヘアケア、ハンドケア、ボディーケア、フレグランス、メーキャップ、食品、ギフトなど、さまざまなカテゴリーの商品を作っています。

ROSE LABOが開発・販売しているスキンケア商品
ROSE LABOが開発・販売しているスキンケア商品

望月 バラといえば「贈りもの」というイメージが強いのですが、購入目的としては、自分用とギフト用のどちらが多いのでしょうか?

田中 実は、ご自分用に購入されるお客さまが非常に多いです。私たちは、“ご自愛用”と呼んでいますが、40代から60代の女性が、「いつも頑張っている自分へのご褒美」として購入されています。

望月 ご自愛用、いい言葉ですね。バラがご自愛用として重宝されるのは、バラが持つ華やかなイメージや香りなどが要因としてあるとは思うのですが、バラが持つ効果効能面を期待して購入されることが多いのでしょうか。私自身はバラについて詳しくないので、教えてください。

田中 バラは植物の中でも特段、女性ホルモンに作用するといわれています。ですから当社が販売しているバラを活用した商品は、「子育てで忙しくしている」「更年期でイライラしている」というようなストレスやイライラを抱える方にお使いいただく、「もっと自分を大切にしてもらう」ためのご自愛用商品だと考えています。

認知を得るために、ビジネスプランコンテストに出場

望月 バラは、なかなか日常生活では意識される商材ではないと思います。認知してもらう取り組みとしては、どのようなことをしていますか。

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