『2025年、人は「買い物」をしなくなる』(クロスメディア・パブリッシング)の著者で、D2C(ダイレクト・トゥー・コンシューマー)コンサルタントでもある望月智之氏が、毎回ゲストを招いて「デジタル×新しいビジネス×未来の買い物」を語り合う対談企画。今回は、500万人超の会員を持ち、世界各国のデザインプロダクトをデザイナーから直接購入できるグローバルECサイト「Pinkoi(ピンコイ)」を運営するピンコイ(東京・渋谷)マーケティングコミュニケーションズの別所ゆかりマネージャーに、越境ECとPtoC(Person To Consumer、個人対消費者)市場の現状について話を聞いた。

※本企画は、ニッポン放送のラジオ番組「望月智之 イノベーターズ・クロス」との連動企画です。
別所ゆかり(べっしょ・ゆかり)氏(左)
ピンコイ マーケティング コミュニケーションズ マネージャー
大学卒業後、ネット専業広告代理店やデジタルエージェンシー総合広告代理店で、化粧品やファッション、食品など日系クライアントのデジタルプロデューサーを経験。その後、大学時代に交換留学をして以来、大好きな台湾に関わる仕事がしたいと決意し、ピンコイに入社。マーケティングコミュニケーションズマネージャーとして、ピンコイのSNSやメルマガなどオウンドチャネルを統括している。

望月智之(もちづき・ともゆき)氏(右)
いつも取締役副社長
東証1部上場の経営コンサルティング会社を経て、いつもを共同創業。同社はEコマースビジネスのコンサルティングファームとして、数多くの企業に戦略とマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費の専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、ブランド企業に対するデジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。『2025年、人は「買い物」をしなくなる』(2019年)、『買い物ゼロ秒時代の未来地図―2025年、人は「買い物」をしなくなる〈生活者編〉』(21年、いずれも クロスメディア・パブリッシング)を出版。

海外で売れやすい、日本発の商品の特徴

望月智之氏(以下、望月) Pinkoiは、個人のデザイナーが、デザイン性の高い商品を販売できるアジア最大級の越境ECサイトで、台湾や日本、香港、中国、タイ、韓国などグローバルに展開しています。個人のクリエーターが、物販やデジタルコンテンツの販売を通して収益を得る「クリエーターエコノミー」は、日本でも話題になっています。

 今回はPinkoiというデザイナーのためのECの現状をお聞きしながら、クリエーターエコノミーがなぜ盛り上がりを見せているのかを明らかにできたらと思います。まずはPinkoiに関してお聞きしたいのですが、どのくらいの規模のECプラットフォームなのでしょうか。

別所ゆかり氏(以下、別所) Pinkoiは、2011年に台湾で設立され、日本版のサイトは14年にオープンしました(日本支社は15年に設立)。グローバルでの会員数は500万人以上、Pinkoi上で販売しているショップ数は約3万2000店舗以上、商品数では230万点以上(22年3月時点)にのぼります。

望月 どのような方が出品しているのでしょうか。

別所 個人で活動しているデザイナーや、中小企業が多いです。

PinkoiのECサイトトップページ
PinkoiのECサイトトップページ

望月 誰でも出品できるわけではないんですよね。

別所 はい。出品にあたっては審査があり、商品のクオリティーやデザイン性、オリジナリティー、配送体制などをチェックしています。あとは、写真も重視しています。越境ECというサービス特性上、テキストだけで商品の説明をしても外国人が理解するのは難しい場合もあります。写真だけで魅力がきちんと伝わる商品かどうかも大事なポイントになります。

望月 なるほど。日本発ではどのような商品が海外で売れるのでしょうか。「日本から世界へ」と考えると、伝統工芸品のような「THE 日本」な物をイメージしやすいのですが……。

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