「事業のEC(電子商取引)化を推し進めることはサステナブル(持続可能性)にもつながる」。そう話すのは、D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)やEC事業のコンサルタントを行ういつも執行役員の立川哲夫氏だ。例えば、1つの取引ごとに排出されるCO2(二酸化炭素)の量は実店舗よりもECの方が低い。また、宅配事業者やECプラットフォーマーによる環境負荷への取り組みも大きい。サステナブルはECの新しい価値や魅力になるのか。立川氏が解説する。連載「イノベーターズ・クロス」の番外編。

 今や多くの人たちの生活に欠かせない存在となったEC。スマートフォンやパソコンで商品を選べば、すぐに自宅に届けてくれます。こうしたECを推し進めることが実はサステナブル(持続可能性)につながる、ということで今、注目されています。

 ECと実店舗におけるCO2排出量の比較を行ったミラノ工科大学(イタリア)のChiara Siragusa氏らのリポートによると、EC比率を高めることがCO2削減につながるということが分かりました。論文では「ファッション」「家電」「書籍」「食料品」の4カテゴリーについて、1つの取引ごとに排出されるCO2量を算出。ECと実店舗で比較を行った結果が下のグラフです。4つのカテゴリーすべてにおいてECの方がCO2排出量が低くなっています。

4つのカテゴリーにおいて、ECの方がCO2排出量が低くなった(画像/いつも提供)
4つのカテゴリーにおいて、ECの方がCO2排出量が低くなった(画像/いつも提供)
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 CO2の排出量はどれも低くなっていますが、家電や書籍はマイナス29~30%程度だったのに対し、ファッションや食料品はマイナス15%程度に留まっています。なぜ、カテゴリーによってCO2削減量が大きく異なるのか。そこで販売のプロセスを「販売準備」「商品補充」「購入」「配送」「購入後(返品対応など)」の5つのプロセスに分解し、それぞれでのCO2排出量を見てみました。

販売のプロセスごとに見るとCO2排出量の内訳が異なることが分かる(画像/いつも提供)
販売のプロセスごとに見るとCO2排出量の内訳が異なることが分かる(画像/いつも提供)
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 販売準備や商品補充は、商品が店舗に届く、バックヤードに保管する、販売スペースを確保する、陳列する、など販売の手前の段階を指します。実店舗の在庫、陳列のプロセスですが、ECでは不要の作業なのでここでCO2を大きく削減することができます。

 半面、ECでは購入と配送といった後半のプロセスでのCO2排出量が実店舗よりも大きくなる傾向にあります。スマホやPCを使うECでは、連携するデータサーバーやシステムセンターなどで電力を消費しているため購入プロセスでのCO2排出量は実店舗よりも多くなります。配送におけるCO2排出量も同様です。