『2025年、人は「買い物」をしなくなる』(クロスメディア・パブリッシング)の著者でD2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)コンサルタントでもある望月智之氏が、毎回ゲストを招いて「デジタル×新しいビジネス×未来の買い物」を語り合う対談企画。今回は、奈良で享保元年(1716年)に創業し、工芸品を中心に扱う中川政七商店の社長である千石あや氏に、ビジョンドリブンな組織づくりについて話を聞いた。※本企画は、ニッポン放送のラジオ番組「望月智之 イノベーターズ・クロス」(毎週金曜日21:20~21:40)との連動企画です。
中川政七商店 代表取締役社長
いつも取締役副社長
望月智之(以下、望月) 中川政七商店といえば、「日本の工芸を元気にする!」というビジョンを掲げて、すでに全国に58店舗を展開しており、他にもさまざまな企業や組織とコラボもしています。工芸業界をここまで盛り上げ、中川政七商店を知らない人はいないくらい有名にした13代目の中川政七さんから、2018年に千石さんへと社長交代されました。カリスマ社長が引っ張ってきた会社のビジョンを、千石さんがどのように組織にまで浸透させ続けているのかについて本日はお聞きできればと思います。まず、中川政七商店が中川政七商店らしく存在し続けるために、気をつけていることはありますか?
千石 中川政七商店では、ビジョンを売り上げよりも上位に置いています。なので、何かを判断する際にも迷わずにいられます。企業として大きくなってもそこは変わりません。
望月 「売る」よりも「ブランド」や「ビジョン」を大切にしているからこそ、逆に売れるんでしょうね。例えば、売れないからといって特定のカテゴリーの構成比率を下げると何のお店かがぼやけてしまい、一時的には売り上げは上がるけど、長期的には下がっていくと思います。
千石 そうですね。社内では「ブランディング」という言葉を言い続けていますが「マーケティング」という言葉はほとんど使わないです。「マーケティング」の領域が「売る」ということだけではないことは知っていますが、言葉のイメージとしてマーケティングというのは中川政七商店には合っていないなと感じますね。
望月 確かに、一般的にマーケティングというとプロモーションや広告などの印象があります。そういえばあまり中川政七商店の広告って見ないですよね。
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