『2025年、人は「買い物」をしなくなる』(クロスメディア・パブリッシング)の著者でD2Cコンサルタントでもある望月智之氏が、毎回ゲストを招いて「デジタル×新しいビジネス×未来の買い物」を語り合う対談企画。今回は、未経験から2年で年商15億円に成長したコスメブランド「PHOEBE BEAUTY UP」を運営し、2022年3月にはシリーズBラウンドで8億円もの資金調達を行ったDINETTE(ディネット、東京・渋谷)のCEO&Founderである尾崎美紀氏に、美容系D2Cとしての今後の展望について話を聞いた。※本企画は、ニッポン放送のラジオ番組「望月智之 イノベーターズ・クロス」(毎週金曜日21:20~21:40)との連動企画です。
DINETTE 代表取締役CEO&Founder
いつも取締役副社長
望月智之(以下、望月) DINETTEは、田岡敬さんや音部大輔さんが参画しており、2022年3月には8億円もの資金調達を行うなど、化粧品・美容業界におけるD2Cブランドとして躍進を続けていますね。メイン事業としては、コスメD2Cブランド「PHOEBE BEAUTY UP」(フィービービューティーアップ)と、美容メディア「DINETTE(ディネット)」の運用かと思いますが、現在の収益の柱はPHOEBE BEAUTY UPのサブスク(定期購入)でしょうか?
尾崎美紀(以下、尾崎) そうです。PHOEBE BEAUTY UPサイトでのサブスクがメインですね。あとは、Amazonや楽天市場、LOFTなどで単品での販売も行っています。
望月 なるほど。自社ECを中心としているんですね。自社ECへの集客はどうやっているのでしょうか?
尾崎 集客はインスタグラムなどのSNSで、他にはSEM(サーチ・エンジン・マーケティング)やその他の媒体での集客を行っています。また、メディアでもオーガニックの集客ができています。
望月 PHOEBE BEAUTY UPは、まつ毛美容液が大ヒットしていて、すでに認知されているブランドなので、アフィリエイトやウェブ広告でも効率のよい流入が見込めそうですね。
尾崎 そうです。今は費用対効果がいいので広告を積極的に出している段階です。
望月 DINETTEは、もともと美容メディアの運用から始めて、そこから19年にD2Cプロダクトの開発と販売に乗り出しましたよね。D2Cでは理想とされがちな「メディア×プロダクト」というモデルなのだと思うのですが、メディアはどのような位置付けなのでしょうか?
尾崎 もちろん、PHOEBE BEAUTY UPの売り上げにつなげる施策の1つではありますが、メディアからお客様の声を集めてプロダクトをつくったり、改良していたりします。
望月 メディア運営は想像以上に大変だと思いますが、自社の事業における役割をしっかりと決めて覚悟を持ってやり切ると、さまざまな効果が生まれるんですね。
尾崎 メディア運営だけの時代は本当に厳しく、常に毎月のキャッシュフローを見ながらの状態で、資金調達にも苦労していました。だからこそメディア運営からD2Cブランドへと転換しようと思えましたし、結果としてメディアは無駄ではなかったと実感しています。自社ブランドのPRが無料で行えるうえ、メディアにはフォロワーも多く、積極的に営業をしなくても月に数百万円単位で企業の広告依頼も来ています。
望月 ほとんどのD2C企業のメディアは収益化していないと言われますが、すごいですね。最初にメディア事業から始めたことが、メディアとプロダクトのそれぞれが収益としては独立しつつ、お互いがよい相乗効果を持つ関係へとつながっているのでしょうね。
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