『2025年、人は「買い物」をしなくなる』(クロスメディア・パブリッシング)の著者でD2Cコンサルタントでもある望月智之氏が、毎回ゲストを招いて「デジタル×新しいビジネス×未来の買い物」を語り合う対談企画。今回は、“韓流サードウエーブ”トレンドに向けて事業を展開するCoogee 代表取締役CEOの鈴木ヒロユキ氏に、クリエイターやインフルエンサーとのタイアップにおいて重要なことについて話を聞いた。※本企画は、ニッポン放送のラジオ番組「望月智之 イノベーターズ・クロス」(毎週金曜日21:20~21:40)との連動企画です。

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鈴木 ヒロユキ(すずき ひろゆき)氏(左)
Coogee代表取締役CEO
1980年静岡県生まれ。武蔵大学社会学部卒業。オーストラリアのバイロンべイで1年間過こした後に数社のスタートアップを経験。その後、ファッションやコスメ関連の商品販売や店舗運営を行う「SBY」のプランドプロデューサーとして10代20代向けのプランドの立ち上げを多数担当する。16年にCoogeeを設立。「アジアに溶け合う」をコンセプトに人とプロダクトの領域でブランド創りをしている。

望月 智之(もちづき ともゆき)氏(右)
いつも取締役副社長
東証1部上場の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつも を共同創業。同社はEコマースビジネスのコンサルティングファームとして、数多くの企業に戦略とマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費の専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、ブランド企業に対するデジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。2019年『2025年、人は「買い物」をしなくなる』2021年『買い物ゼロ秒時代の未来地図―2025年、人は「買い物」をしなくなる〈生活者編〉』を上梓(じょうし)。

望月智之氏(以下、望月) Coogeeは、韓国を中心としたアジアの超有名モデルやクリエイター、インフルエンサーなどのタレント事務所という印象です。特にInstagramで180万人のファンを持つTaeri(テリ)さんや、元祖オルチャン(韓国で美少女を意味する俗語)として日本でも有名なYongee(ホン・ヨンギ)さんなどが所属していますよね。ただ、最近は自社でコスメなどの商品を出していたり、他企業とのコラボ商品を作っていたりします。その狙いは何なのでしょうか?

鈴木ヒロユキ氏(以下、鈴木) 所属するメンバーとともに、“売れるブランド”を意識して作っています。自社ブランドとしてはテリがプロデュースするコスメ「CILY(シリー)」やホン・ヨンギがプロデュースする「MilkTouch (ミルクタッチ)」や、元IZ*ONEでAKB48の本田仁美さんがプロデュースしたことで話題のコスメブランド「NOTONE(ノートーン)」など、10以上のコスメやアパレルなどのブランドを展開しています。また、他企業へのサービスとしては、こうした知見を生かしたブランディングのコンサルティングやキャステイングなどを行っています。

望月 有名人が自分のブランドを作ったり、企業とコラボして店を作っても、旬を過ぎるとあまり売れなくなり数年後に撤退、なんて話をよく聞きます。鈴木さんの売れるブランドとはどんな秘訣があるのですか?

鈴木 インフルエンサーの商品の場合、売り上げを伸ばし続けるには「商品力×露出量」をどれだけ上げられるかが重要だと考えています。

望月 D2C企業には、商品力はイマイチだけれども、世界観やストーリーを作り込み、露出量をウェブ広告運用によって確保して売り上げを伸ばしているところがあります。しかし、Coogeeのブランドはあまり広告を投下していないですよね。

鈴木 そうなんです。露出面をSNSと考えた場合、人がどういう時に商品を紹介したくなるかという気持ちをつかんでしまえば、広告でなくても情報は拡散していきます。例えば、どうすれば「誰かに話したくなるか」という、ツボを刺激するためのネタを考えることにすごく気をつけています。単なる広告ありきのコミュニケーションよりも、もっと入り口の部分、つまりどういう“ネタ”をお客さんに提供させられるかが重要なのではないかと思います。

「話したくなる」ツボを刺激するためのネタを考えているという鈴木氏
「話したくなる」ツボを刺激するためのネタを考えているという鈴木氏
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望月 なるほど。それこそが商品力ということですよね。多くのメーカーは機能、D2Cは世界観、そしてCoogeeはちょっと話したくなるネタ、ということを商品力として重視しているんですね。

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