『2025年、人は「買い物」をしなくなる』(クロスメディア・パブリッシング)の著者でD2Cコンサルタントでもある望月智之氏が、毎回ゲストを招いて「デジタル×新しいビジネス×未来の買い物」を語り合う対談企画。今回は、独自の冷凍技術とITで、地域のパン店と生活者をつなげるパンフォーユー 代表取締役の矢野健太氏に、地域性の強い商品を全国展開することについて話を聞いた。※本企画は、ニッポン放送のラジオ番組「望月智之 イノベーターズ・クロス」(毎週金曜日21:20~21:40)との連動企画です。

矢野健太(やのけんた)氏(左)
パンフォーユー代表取締役
1989年生まれ。群馬県太田市出身。京都大学経済学部卒業後、新卒で電通(現電通グループ)入社。その後、教育系ベンチャーを経て、地域系NPOへ。その経験から、新しい雇用を生み出すことで地域が活性化することを実感。パンフォーユーの企業ビジョン「魅力ある仕事を地方に」の原点に。17年1月にパンフォーユーを設立し、代表取締役に就任。18年5月に同社にて経営陣によるMBOを実施し、地域のパン店のパンを冷凍で配送する現在の事業モデルへ。

望月 智之(もちづきともゆき)氏(右)
いつも取締役副社長
東証1部上場の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつも を共同創業。同社はEコマースビジネスのコンサルティングファームとして、数多くの企業に戦略とマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費の専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、ブランド企業に対するデジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。19年『2025年、人は「買い物」をしなくなる』、21年『買い物ゼロ秒時代の未来地図―2025年、人は「買い物」をしなくなる<生活者編>』を上梓(じょうし)。

望月智之氏(以下、望月) 焼きたてのパンを冷凍して配送する「パンフォーユー」は、一般向けにはパンのサブスクリプション(以下、サブスク)、法人向けには社内カフェや福利厚生サービスとして、地域のパン店と全国の生活者をつなげるプラットフォーマーですよね。“パン業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)”ともいわれていますが、パンフォーユーのサービスにはどのような特徴があるのでしょうか?

矢野健太氏(以下、矢野) 強みとしては独自の冷凍技術と、パン店向けのシステム「パンフォーユーモット」があります。“パンは店舗で購入するもの”という認識が一般的だと思いますが、冷凍技術と独自システムによってパンを地元から全国に、リアルからECにという流れをつくっています。

望月 なるほど。パン店って地元密着のローカルビジネスなイメージがありますが、全国各地の有名なパンが食べられるのは面白そうですよね。一方で食に関するビジネスは、原価の高さや配送の問題、サブスクやネットとの親和性の難しさなど結構ハードルが高いと思います。このあたりはどう乗り越えたのですか?

矢野 「乗り越えた」という感覚はまだないのですが、コロナ禍のイエナカ消費と個人向けのサブスクサービス「パンスク」の開始で、売り上げは上がってきています。

望月 パンは生活に最も浸透している食べ物の一つのため、パンスクが狙う市場は非常に大きいですよね。一方であまりにも身近な食べ物なので「サブスクでパンを買う」という認識が生活者にはないと思いますが、どのように市場開拓をしていますか?

矢野 近くにパン店がない、もしくはパン店はあるけれどそのパンに満足していないという人たちをまずターゲットにしています。

望月 なるほど。確かに「全国のパンを食べてみたい!」という人を狙うのもありだとは思いますが、市場規模としては「身近にいいパン店がない」という潜在的な不便を感じている人を狙うのがよさそうですね。三重県にある私の実家の近くには、そもそもパン店はないです。

矢野 さらに突き詰めると「おいしいパンを食べた経験があるけれども、今は食べていない」という方をメインのターゲットにしたほうがいい。反対に「パンなんて80円ぐらいでしょ」というような、パンに興味がない人には関心を持ってもらうことが難しいですね。

望月 パンはライフスタイルや価値観とつながりがありそうですよね。

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