『2025年、人は「買い物」をしなくなる』(クロスメディア・パブリッシング)の著者でD2Cコンサルタントでもある望月智之氏が、毎回ゲストを招いて「デジタル×新しいビジネス×未来の買い物」を語り合う対談企画。今回は、「キリンビール公式 note(現 KIRIN 公式note)」を立ち上げ、noteを軸にした企業コミュニケーションの戦略を担うキリンホールディングス コーポレートコミュニケーション部の平山高敏氏にブランドとしてのコミュニケーション戦略のヒントについて話を聞いた。※本企画は、ニッポン放送のラジオ番組「望月智之 イノベーターズ・クロス」(毎週金曜日21:20~21:40)との連動企画です。
キリンホールディングス コーポレートコミュニケーション部
いつも取締役副社長
望月智之氏(以下、望月) 平山さんはキリンホールディングスに所属されていて、個々の事業会社ではなく、キリングループ全体のコミュニケーションを担当されているかと思います。その中でもnoteでの情報発信が特に面白いと感じているのですが、この取り組みにはどのような狙いがあるのでしょうか?
平山高敏氏(以下、平山) マス向けの商品は今でもCMなどの広告を中心にコミュニケーションしていくことが多いです。一方で、マス向けではないブランドや今までの広告では伝えられなかった「思い」や「人」を伝える場所が必要だと思っていて、そうした発信場所としてnoteを活用しています。
望月 BtoCだけでなくBtoBも含め、noteを活用する企業が増えています。どのような特徴があるのでしょうか。
平山 noteはTwitterとの相性が良いと感じています。SNS単体だと、情報はフォロワーにしか基本的には届かないのですが、noteの記事を見た方が、Twitter上でシェアをして、それが同心円状に広がっていくのが面白いです。
望月 なるほど。SEO(検索エンジン最適化)対策をして検索上位を狙ったり幅広い層に向けたりした配信ではなく、共感によってシェアされるようなコンテンツを作っているということですね。
平山 20年に「#日本産ホップを伝う」という特集を出しました。キリンとして、日本のホップ産業を盛り上げたいという思いで始め、noteの記事をきっかけに「#日本産ホップを伝う」というハッシュタグがTwitter上で700万人にリーチすることができました。
noteの記事が東北をはじめとして日本各地でホップ作りに関わっている人に共感してもらい、記事をシェアいただきました。さらにフォロワーの方が、記事だけでなくコメントやハッシュタグに共感してシェアする、という連鎖につながって、最終的に700万人という数字に達したのです。
望月 これまでもお酒に関連する情報発信はしていたと思いますが、そういったコンテンツとnoteの違いはどのように考えていらっしゃいますか?
平山 「それはキリンがnoteで発信する必要があるのか?」ということを主軸に考えています。また、「キャンペーンや販促はやらない」「広告はやらない」「担当者の顔を出す」など、noteでの決まりごともあります。
望月 noteやSNS含めてKPI(重要業績評価指標)はあるんですか?
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