『2025年、人は「買い物」をしなくなる』(クロスメディア・パブリッシング)の著者でD2Cコンサルタントでもある望月智之氏が、毎回ゲストを招いて「デジタル×新しいビジネス×未来の買い物」を語り合う対談企画。今回は、チャンネル登録者数90万人以上を誇る美容クリエイターの「元美容部員 和田さん。」と対談。コスメ業界のインフルエンサーでもあり、小売店舗での販売経験を持つ和田さん。に小売販売の現場の声や、これからのオンライン接客の可能性について聞いた。※本企画は、ニッポン放送のラジオ番組「望月智之 イノベーターズ・クロス」(毎週金曜日21:20〜21:40)との連動企画です。

和田さん。(左)
美容クリエイター、YouTuber
元美容部員の経験を生かした美容系How To動画が人気の美容クリエイター。大手化粧品メーカーの美容部員として約6年間、店頭に立ってメークやカウンセリングを担当した後、2018年5月26日にYouTube チャンネル「和田さん。チャンネル」を開設。トータルフォロワー120万人を誇る。

望月智之(もちづきともゆき)氏(右)
いつも 取締役副社長
東証1部の経営コンサルティング会社を経て、「いつも」を共同創業。同社はEコマースビジネスのコンサルティングファームとして、数多くの企業に戦略とマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの第一人者として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、ブランド企業に対するデジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。2019年『2025年、人は「買い物」をしなくなる』、2020年『買い物ゼロ秒時代の未来地図』を上梓。

望月智之(以下、望月氏) 和田さん。は元美容部員の経験を生かしたメーク動画が多くの支持を集めており、YouTuberとしても登録者数が90万人以上という美容業界のインフルエンサーです。今回はインフルエンサーを絡めた次世代店舗の可能性についてお聞きしていきたいと思います。まず、実店舗の現状をどう見ていますか?

和田さん。 美容部員の方からは、お客様が店舗に求めていることが変わってきているという話をよく聞きます。私が美容部員をしていた頃は、「私に似合うものを選んでください」というパーソナライズを求めるお客様が多かったのですが、今は指名買いでカウンセリングも必要としていない方が増えました。そういうお客様は、あらかじめネットで情報を集めて購入する商品を決めてから来店されるのです。

望月氏 店舗の重要な要素である「接客」が、本当に必要なのかということですね。「いつも」の調査でも、店舗へ行かなくなった理由として、6割以上が「店員の接客が面倒だ」と答えています。接客は今後どうあるべきだと考えていますか?

和田さん。 接客の要素として、カウンセリングと購買を一緒にしていることが私の中でしっくりきていません。その2つを分けたい、というのが自分の思いとしてあるんです。

望月氏 確かに、店舗は、「売るためにカウンセリングをやっている」という仕組みですよね。

和田さん。 そうなんです。そうするとお客様は満足しないし、「相談したら買わなきゃいけない」というプレッシャーを感じてしまいます。

望月氏 そうなると、気軽に相談しづらくなりますよね。和田さん。は「オンラインBAプロジェクト」というオンラインでカウンセリングを提供する施策を行っていましたが、それはまさしく「カウンセリング」を「買う」から分離していますよね。

和田さん。 その通りです。オンラインBAプロジェクトは、お客様と美容部員をマッチングさせる取り組みで、お客様の悩みに合わせて美容部員がオンラインで答えるというサービスです。20年6月に2週間限定で行いましたが約100人のお客様が参加されました。10月にも同じように2週間実施しています。

望月氏 「プロに相談したい」という要望はありそうですね。「買わなくてもいい」「売らなくてもいい」ということの可能性はもっと追求していくべきだと思います。その一つが、インスタライブなど、スタッフのデジタルでの発信だと思います。

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