PBは「これがいい」というより「これでいい」

望月氏 以前と比べてPBへの見られ方も変わってきましたよね。以前だとPBは「安価だけど大丈夫かな?」というように、消費者もあまり良い印象を持っていなかったように思います。

熊本氏 そうですね。ただ、松竹梅で言うと、竹か梅という見られ方が一般的ではないでしょうか。実は今や、小売・流通企業のほうが圧倒的に作り方もうまくなっているんですけれど。なので、「絶対このメーカーじゃないとダメ」というジャンルではないところで、PB商品を展開していることが多いですね。

望月氏 消費者にとって、ある意味、商品選びにおいてちょうどいい落としどころ、というか妥協できる商品というのがPBになるんでしょうね。

熊本氏 PB商品を買うのは消費者にとってファストファッションの心理と似ていて、「これがいい」というより「これでいい」というアイテムなんです。例えばセブン-イレブンの100円コーヒーを飲んでいても別に恥ずかしくもないし、味も十分おいしい。いわば「これで十分」なんです。クリエイティブとして重要なのは、「そんなコーヒー飲んでるの?」と言われないことをどう作るかなんです。

望月氏 PBにおいては、「かっこいい」「好き」ではなく、「恥ずかしくない」とか「うしろめたくない」が重要なんですね。

熊本氏 僕たちamadanaは、「NPB(ナショナルプライベートブランド)」という言葉を使っています。まず、2000年代中ごろまでの「PB1.0」は大量に作って安く売ることがバリューでした。それが、「PB2.0」になり先ほど話した「これでいい」という存在になりました。そして、これからさらに増えると思っているのが、きちんとブランドが確立された「ナショナルブランドのようなPB」なのです。

望月氏 確かに2008年の「日経トレンディ ヒット商品ベスト30」の1位に「プライベートブランド」が選出されたり、トップバリュやセブンプレミアムなどのPBが世の中的に受け入れられ始めました。そこからPB2.0になり、さらに今後はNPBがより本格化するということですね。

熊本氏 靴専門店やスポーツ量販店でもナショナルブランドのようなPB、いわゆる“隠れPB”が存在します。実際にはPBのオペレーションで製造から販売まで行いながらもナショナルブランドのように見せている商品は実は意外とたくさんあるのです。

望月氏 なるほど。D2Cの考え方に近いと思います。もともと価格と品質は良いので、あとはきちんとイメージを作って伝える工夫をすれば売れるということですね。

熊本氏 スポーツブランドの「kissmark」や「TOBUNDA」などもアルペンのNPBです。中にはNBになったPBもあります。例えば「無印良品」(良品計画)も西友のPBからNBになりました。PBに対してもいろいろな戦略を各社が考えて作っているんです。