
9カ月に及んだ「キャッシュレス・消費者還元事業」がついに終わろうとしている。2020年7月以降の鍵になるキャッシュレスの決済手数料率について、コード決済大手5社にアンケートを実施。小売店側には極めて重要な、キャッシュレスの売り上げを現金化するまでの最短日数や方法も尋ねた。今後の国策なども整理しつつ、アフターコロナのキャッシュレスがどうなるのか、未来を占う。
2019年10月に始まり、各社のキャンペーンという狂騒曲を奏で続けた「キャッシュレス・消費者還元事業」が、ついに最終楽章を迎えた。
【第2回】 マイナポイント、JPQRは切り札か キャッシュレス拡大に高い壁
【第3回】 キャッシュレス比率2倍に! 地方小売りに学ぶ、寄り添う接客術
【第4回】 コロナに抗え 「キャッシュレス+α」で生き残る小売りと外食
【第5回】 キャッシュレス市場は第2幕へ 鍵握る携帯キャリアの顧客基盤
【第6回】 au PAYの頼みの綱はPontaとローソン 最後発から追い上げなるか
【第7回】 d払いユーザーはマツキヨで客単価2倍 メルペイ連携で若者を補完
【第8回】 「楽天ペイ×Suica」ついに発進 チェックイン機能も実装間近
【第9回】 好調PayPayのwithコロナ戦略 モバイルオーダーで店舗支援に注力
【第10回】 還元率3%のクレカで挑むLINE Pay 店の資金繰り向上にも着手
【第11回】 メルペイ、加盟店開拓加速 dポイントとの連携で変えたかじ取り
【第12回】 大手5社の対応が判明 キャッシュレス手数料「3.25%」の攻防戦
還元事業によるコード決済各社への影響は、本特集の第1回(コロナでキャッシュレスはどう変わった? 導入店舗の実態データ)で紹介した通り、強烈な追い風となった。新型コロナウイルスの影響は確かにあったが、むしろ現金を嫌う人が増えたことで好調を維持。還元事業という“げた”がなくなる20年7月以降も、決済事業者側はこの勢いをキープしたいところだ。

だが加盟店側の視点に立つと、この7月は別の意味を持つ。改めて、キャッシュレス・消費者還元事業の中身を確認しておこう。決済事業者側が加盟店手数料率を3.25%以下に引き下げれば、国がそのうちの3分の1を補助する。また、加盟店側の規模などに応じて2%ないしは5%のポイント還元分も国が補助する、というものだった。
これに伴い19年10月以降、決済事業者側は手数料率を3.25%の水準以下に抑え、普及を促す方向にシフト。クレジットカードは手数料率が7%程度の場合もあったため、この期間の加盟店側への恩恵は大きい。だが還元事業の期間が終われば、手数料率は再び上がるとみられており、戦々恐々とする加盟店は多かった。
ここまでのキャッシュレス普及の流れに水を差したくない経済産業省は20年6月3日、検討会の設置を正式に発表。「(キャッシュレスの)更なる普及促進に当たっては、中小店舗にとって、加盟店手数料の負担が重いこと、売上入金サイクルが長いことなど、いくつかの課題が存在している」としており、解決策の切り札とするのが「加盟店手数料の開示の義務化」だ。手数料率のパーセンテージを開示させることで事業者間に競争原理を持ち込み、小売店側にさらなるキャッシュレスの普及を促す。
キャッシュレス推進協議会の福田好郎事務局長・常務理事は「手数料の仕組みは40年前から何も変わっていない。『みんなが変わるならうちも変わる』という事業者が多かった」と語る。開示義務が突破口となって、仕組み自体を見直す動きが出てくる可能性もある。手数料を負担しているのは加盟店であり、その原資は消費者が支払っている。引き下げによる消費者への間接的なメリットも出てくるだろう。
PayPayやd払いなどに代表されるコード決済事業者はどうか。大手5社にアンケートを実施し、サービスの決済手数料を以下に示した。
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