どうなる?コロナ禍時代のキャッシュレス

9カ月に及んだ「キャッシュレス・消費者還元事業」がついに終わろうとしている。2020年7月以降の鍵になるキャッシュレスの決済手数料率について、コード決済大手5社にアンケートを実施。小売店側には極めて重要な、キャッシュレスの売り上げを現金化するまでの最短日数や方法も尋ねた。今後の国策なども整理しつつ、アフターコロナのキャッシュレスがどうなるのか、未来を占う。

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コード決済事業者の手数料率は今後どう変わるのか。アンケートを実施した
コード決済事業者の手数料率は今後どう変わるのか。アンケートを実施した

 2019年10月に始まり、各社のキャンペーンという狂騒曲を奏で続けた「キャッシュレス・消費者還元事業」が、ついに最終楽章を迎えた。

 還元事業によるコード決済各社への影響は、本特集の第1回(コロナでキャッシュレスはどう変わった? 導入店舗の実態データ)で紹介した通り、強烈な追い風となった。新型コロナウイルスの影響は確かにあったが、むしろ現金を嫌う人が増えたことで好調を維持。還元事業という“げた”がなくなる20年7月以降も、決済事業者側はこの勢いをキープしたいところだ。

キャッシュレスの推進を喚起し続けた消費者還元事業もいよいよ6月で終了する
キャッシュレスの推進を喚起し続けた消費者還元事業もいよいよ6月で終了する
期間中の決済手数料は、国の補助により実質2.17%以下に抑えられていた
期間中の決済手数料は、国の補助により実質2.17%以下に抑えられていた

 だが加盟店側の視点に立つと、この7月は別の意味を持つ。改めて、キャッシュレス・消費者還元事業の中身を確認しておこう。決済事業者側が加盟店手数料率を3.25%以下に引き下げれば、国がそのうちの3分の1を補助する。また、加盟店側の規模などに応じて2%ないしは5%のポイント還元分も国が補助する、というものだった。

 これに伴い19年10月以降、決済事業者側は手数料率を3.25%の水準以下に抑え、普及を促す方向にシフト。クレジットカードは手数料率が7%程度の場合もあったため、この期間の加盟店側への恩恵は大きい。だが還元事業の期間が終われば、手数料率は再び上がるとみられており、戦々恐々とする加盟店は多かった。

 ここまでのキャッシュレス普及の流れに水を差したくない経済産業省は20年6月3日、検討会の設置を正式に発表。「(キャッシュレスの)更なる普及促進に当たっては、中小店舗にとって、加盟店手数料の負担が重いこと、売上入金サイクルが長いことなど、いくつかの課題が存在している」としており、解決策の切り札とするのが「加盟店手数料の開示の義務化」だ。手数料率のパーセンテージを開示させることで事業者間に競争原理を持ち込み、小売店側にさらなるキャッシュレスの普及を促す。

 キャッシュレス推進協議会の福田好郎事務局長・常務理事は「手数料の仕組みは40年前から何も変わっていない。『みんなが変わるならうちも変わる』という事業者が多かった」と語る。開示義務が突破口となって、仕組み自体を見直す動きが出てくる可能性もある。手数料を負担しているのは加盟店であり、その原資は消費者が支払っている。引き下げによる消費者への間接的なメリットも出てくるだろう。

 PayPayやd払いなどに代表されるコード決済事業者はどうか。大手5社にアンケートを実施し、サービスの決済手数料を以下に示した。

まとめ(手数料)
注)表の内容は6月上旬時点のもの。PayPayの決済手数料は、2020年4月1日以降新たに加盟店になる年商10億円以上の法人の場合は有料。LINE Payの決済手数料は中小企業向けサービスで、POSやStarpay導入の際は異なる。楽天ペイの決済手数料は、20年6月30日までは消費者還元事業の対象店舗、7月1日以降は全店舗。d払いはクラウドペイ(デジタルガレージ社提供 MPMの場合)、20年6月30日まではd払い分の10%を進呈・最大5000円まで。7月1日以降も9月末まではd払い分の3.24%を進呈

 一般的にクレジットカードに比べると、コード決済は小売店に対して“良心的”だ。キャッシュレス・消費者還元事業の期間中は、PayPay、LINE Pay、au PAYの3サービスは無料。変更後の手数料率もLINE Payは2.45%と安く、他もおおむね3.25%以下に抑えられている。「未定」と回答したPayPayについても、藤井博文マーケティング本部長は「何らかの手数料設定はするが、他と比べても十分リーズナブルな水準にしたいと思っている。ここがメインのマネタイズの部分とは思っていない」と語る。