
ソフトバンクグループとソフトバンク、ヤフーの3社が共同出資するコード決済事業者PayPay(東京・千代田)のビジネスが好調だ。2019年10月から始まったキャッシュレス・消費者還元事業を追い風に、ユーザー数、加盟店数、決済回数のいずれも急増させ、林立するコード決済事業者の中から頭一つ抜け出た感がある。そんなPayPayの今後の戦略と直面する課題を追った。
「2020年5月1日に受け付けを開始してからわずか1カ月弱で、サービスを申し込んだ店舗が2000件を突破した」
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PayPayの藤井博文マーケティング本部長はこう胸を張る。このサービスの名前は、「PayPayピックアップ」。PayPayが提供するコード決済サービス「PayPay」のアプリ内で、ユーザーから事前に注文を受け付け、決済まで完了し、店頭で商品を渡すモバイルオーダーサービスのことだ。
新型コロナウイルス感染症の拡大で営業の自粛や時間短縮を余儀なくされている飲食店などを支援するサービスとして、PayPayアプリに実装。2020年5月1日から利用店舗の受け付けを開始した。店舗から得た最初の手応えは十分のようだ。
決済回数は毎月1億回以上に
PayPayは18年10月のサービス開始以来、ここまで順調に事業を拡大。林立するコード決済事業者の中から頭一つ抜け出した存在になりつつある。登録ユーザー数は、19年10月のキャッシュレス・消費者還元事業の開始に伴って急増し、20年4月22日に2800万人を突破。利用できる加盟店数も同様に増え、同年4月26日現在で220万カ所に及ぶ。
利用頻度も、キャッシュレス・消費者還元事業の開始以降、増している。PayPayを使った決済回数を四半期ごとに見ると、還元事業開始後に当たる19年度第4・四半期(20年1~3月期)の決済回数は3億7500万回となり、18年度第4・四半期の2160万回に比べて、1年間で約17倍に増えた計算だ。藤井氏は、「還元事業のおかげで当初、期待していた以上の風が吹いた」と振り返る(参考記事「コロナでキャッシュレスはどう変わった? 導入店舗の実態データ」)。
しかも、PayPayのこの勢いは20年に入っても弱まる気配がない。19年12月以降の毎月の決済回数は1億回以上で推移し、今やユーザーにコンスタントに使われるサービスになったことを示している。
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