
2020年5月25日、楽天ペイアプリでのSuica利用がついにスタート。楽天カードからのSuicaチャージでポイントがたまるようになった。地方のスーパーを開拓してきた楽天Edyとの両輪で、幅広く電子マネーをカバーする。今後は楽天ペイアプリ内にチェックイン機能を実装予定で、楽天トラベルや楽天GORAなどとも連携。さらなる利便性の向上を図る。
2019年6月、Suicaとの提携を発表し、ユーザーの度肝を抜いた楽天ペイ。楽天ペイメント(東京・港)執行役員戦略室長兼楽天ペイ事業本部副本部長兼マーケティング&編成部長の諸伏勇人氏は、これを「ミッシングピースが埋まった」と表現する。「楽天に欠けていた通勤・通学という部分に入ることで、毎日の生活シーンを幅広くサポートできるようになるのはとても大きい」(同氏)。
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発表時点では「来春」としていた提携が20年5月25日、ついに正式スタートした。楽天ペイアプリ内でSuicaの発行やチャージができるほか、全国の鉄道約5000駅、交通系電子マネーとして約94万店舗で、同アプリ内のSuicaによる支払いが可能となった。既に発行済みのSuicaであれば、楽天ペイアプリに取り込んで定期券機能もそのまま利用できる。
今のところ対応するのは、おサイフケータイが搭載されたアンドロイド端末に限られる。クレジットカードの「楽天カード」を支払い元に設定し、楽天ペイアプリでSuicaにチャージすると、200円につき1ポイントの楽天ポイントをためられるようになった。
iPhoneユーザーにも“救済策”は用意されている。iOS端末利用者は、モバイルSuicaアプリまたはApple Payを使って、楽天カードからのSuicaチャージで同じく200円につき1ポイントの楽天ポイントをためられる(要エントリー)。
さらに、まずはアンドロイド端末からの実装になるが、今後は楽天ペイアプリ内で楽天ポイントからSuicaへのチャージもできるようになる予定だ。たまった楽天ポイントで電車に乗れるメリットは非常に大きい。
出足は非常に順調だ。楽天ペイメント 戦略室 企画グループ マネージャーの鍋山隆人氏は、「楽天ペイアプリ内でSuicaを発行するユーザー数は、すでに期待値を超えている。楽天ペイアプリ自体のダウンロード数も伸びている」と手応えを語る。
ただ、楽天には買い物系電子マネーの「楽天Edy」がある。どうすみ分けていくのか、この部分にもすでに解を持っている。ここ最近、楽天Edyが主戦場にしているのがスーパーマーケットだ。特に自社でICカードを発行していない地方スーパーが、楽天Edyを搭載した提携カードを発行する例が増加。20年4月時点で360社、4100店舗に楽天Edyが導入されており、提携カード発行は48社に上る。余談だが、新型コロナウイルス流行による影響で、スーパーの好調に引っ張られる形で楽天Edyの利用が非常に伸びたという。
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