
新型コロナによる逆風がリアル店舗に吹き荒れる中、「母の日ドライブスルー」を考案した生花店やデリバリーを始めた外食店の取り組みを紹介する。キーワードは「キャッシュレス+α」だ。LINE PayとLINE公式アカウントを組み合わせて自社のサービスを訴求し、ファン獲得に結びつけた調剤薬局のケースも、これからの集客のヒントになる。
京都で100年以上の伝統を誇る生花店「茨木春草園」(京都市)。二条通に面し、創業は大正3年(1914年)に遡る本店の他、京都東急ホテル内と東京・神保町の「パリの花通り」の小売店3店舗などを運営している。この老舗にも、新型コロナウイルスの惨禍は降り注いだ。2020年3月の生花の売り上げは7割減、同4月は実に9割減と、大苦戦を強いられた。
【第2回】 マイナポイント、JPQRは切り札か キャッシュレス拡大に高い壁
【第3回】 キャッシュレス比率2倍に! 地方小売りに学ぶ、寄り添う接客術
【第4回】 コロナに抗え 「キャッシュレス+α」で生き残る小売りと外食
【第5回】 キャッシュレス市場は第2幕へ 鍵握る携帯キャリアの顧客基盤
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茨木春草園は主に4つの部門で成り立つ。そのうちの2つ、造園部門とオフィスなどに向けたグリーンのレンタル部門では、新型コロナの影響は幸いにして比較的軽微。もろに被害を受けたのは残りの2つ、生花部門とディスプレー部門だった。生花部門の大きな柱はブライダルだが緊急事態宣言のため売り上げゼロに。店頭売りも外出自粛のため大きく売り上げを落とした。ディスプレーとはホテルなどでのイベント向けの部門で、こちらも壊滅的な打撃を受けた。
売り上げが全く見込めないのが分かっていながら、何もできない。ホテルのインショップは休業、路面店の本店も開店休業状態。従業員の士気も大きく低下していた。少しでも売り上げに寄与する方策はないものか。負の流れを何とか断ち切ろうと考え出されたのが、「母の日ドライブスルー」だった。「未曽有のコロナ禍中、伝統を守りながらも新しいことにチャレンジする絶好の機会だと思い、社員スタッフとともに企画しました」と茨木春草園執行役員総店長の小山聡人氏は語る。
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