※日経トレンディ 2020年6月号の記事を再構成

新型コロナウイルスの感染が広まり、中止や延期が相次いだコンサートやイベント。そんな中、話題を集めたのが、演奏会やお笑い、美術館、動物園などの「無観客ライブ配信」だ。特に存在感を高めたといえるのがクラシック音楽。ドワンゴが、夏野剛社長が東京交響楽団(東響)の理事を務めていた縁で先鞭をつけた。その後、複数のオーケストラが続いた。

 2020年2月13日に、国内で初めて新型コロナウイルス感染症による死者が出てから、大規模イベントへの風当たりは日を追うごとに強くなった。2月20日には厚生労働省が「開催の必要性の検討」を依頼し、2月26日には安倍晋三総理大臣が「中止、延期または規模縮小などの対応」を要請した。これを受けて、EXILEやPerfumeなどの著名アーティストがライブの中止を表明。自粛ムードが高まった。

 そんな“アーティストの危機”の最中に、逆に存在感を「無観客ライブ配信」で高めたのがクラシック音楽だ。象徴的だったのが、東響が3月8日と14日にミューザ川崎シンフォニーホールで開催した「観客のいない音楽会」。総理大臣の要請を受けて2月27日に演奏会「名曲全集第155回」の中止をいったん決定したが、同楽団の理事にドワンゴの夏野剛社長がいた縁で、同社の「ニコニコ生放送」でのライブ配信が決定。3月3日に発表すると、公式ツイッターでは2000件以上リツイートされた。ドワンゴとしても、無観客での無料配信は初の試み。クラシックファンでもある夏野社長の発案により、カメラ遷移のない、「客席固定カメラ」の映像も予定するなど、配信の準備を進めた。

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