
※日経トレンディ 2020年6月号の記事を再構成
2020年、新型コロナウィルスの感染が拡大する中での上半期ヒット商品と、ウィズコロナ時代の下半期ブレイク予測を総まとめした特集の第3回。日用品では、「新しい使い方」の提案で市場を切り開き、ヒット商品となるケースがよくある。上半期でこれに当てはまるのが、大日本除虫菊(金鳥)の「ゴキブリムエンダー」だ。
ゴキブリムエンダーは、スプレータイプのゴキブリ駆除剤だが、使い方はゴキブリに向けて噴射するのではなく、部屋の空間に何度かプッシュするだけ。殺虫成分が隙間まで行き渡り、床面を中心に薬剤が付着することでゴキブリを追い出し、駆除する。
用途としては「くん煙剤」に近いが、くん煙剤のような事前の準備や後片付けは不要。1部屋だけの駆除もでき、使用中に外出する必要もない。2020年2月の発売後、その便利さが次第に認知されて売れ行きを伸ばし、3月下旬にはくん煙剤のトップブランドである「アースレッド」(アース製薬)の週次販売金額を上回った(下グラフ)。「2〜3月は出荷計画比153%。夏場に向けてさらに伸びが期待できる」(大日本除虫菊)。同社によると、購入者のうち前年にくん煙剤を買っていた人は1割程度。子育て層や独身女性からの支持が厚いのも、従来のゴキブリ関連商品とは異なる点だ。使い方の変革により、新しい購買層を掘り起こしたのがヒットにつながった。
防虫分野では、エステーの「ムシューダダニよけ」も2〜3月の出荷計画比120%と好調。新型コロナの影響で消費者が家庭内の衛生に敏感になり、病気やアレルギーの要因となるゴキブリやダニを避けたいとの意識が強まったのも背景にありそうだ。
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