
世界で巻き起こる食分野のイノベーション、「イノベー食」を取り上げる本特集。第4回の今回は、異業種のJR東日本が取り組むフードテックの「場」づくりに焦点を当てる。小ロットの製品開発から販売まで可能にする、食のコワーキングスペースとは?
東京・新大久保といえば、チーズダッカルビや韓国式チーズドッグのハットグといった若者に人気の“韓流グルメ”を筆頭に、タイ、ベトナム、シンガポールなど8カ国の料理をそろえた「新大久保アジア屋台村」など、多国籍グルメの一大集積スポットとして知られる。
そんな新大久保を舞台に今、東日本旅客鉄道(JR東日本)が進めているのが、山手線新大久保駅の改装プロジェクトだ。同社は2020年内に、新大久保駅3階、4階に食の交流拠点「新大久保フードラボ(仮)」をオープンする予定。シェアダイニングや食のコワーキングスペースといった新たな試みを通じて、「新大久保から新しい食文化と食を通じたライフスタイルを提案していく」と、JR東日本の山手線プロジェクト、グループリーダーの古田恵美氏は話す。
古田氏が取り組む山手線プロジェクトとは、20年3月にオープンした高輪ゲートウェイ駅を入れて30駅ある山手線各駅、エリアの個性を引き出し、街や人が有機的につながる都市生活空間「東京感動線」を創り上げることを目的とする。現状、山手線は通勤目的で利用する人が多いため、高頻度で電車が到着する機能的な価値に利用者の評価は集中する。それに対して、各駅の個性を際立たせて「目的地」となること、すなわち移動需要の創出を狙う。
新大久保駅と食を結びつけたのは、JR東日本が行った山手線利用者のアンケート結果だった。新大久保駅は他の駅に比べて「国際性」や「食」のイメージが高く、ちょうど駅舎もバリアフリー工事で建て替え、一部店舗を入れるタイミングだった。そうして新大久保駅×食のテーマが決まり、動き出したのが新大久保フードラボ構想というわけだ。では、具体的にはどんな仕掛けがあるのか。
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将来のスターシェフを発掘
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