
世界で巻き起こる食分野のイノベーション、「イノベー食」を取り上げる本特集。第3回の今回は、日清食品ホールディングスと東京大学が開発を進める「培養ステーキ肉」を取り上げる。将来的には、近場の培養肉工場から自分好みの“フレッシュミート”が届く世界もあり得る、その技術インパクトに迫る。
ピンク色の液体が入ったシャーレの中央にある約1センチメートル角の白い物体。これは、日清食品ホールディングス(HD)が東京大学生産技術研究所の竹内昌治教授と共同研究を進める、ウシの筋細胞から作製した培養ステーキ肉の現在地だ。
両者は2025年を目指して、縦横7センチメートル、厚さ2センチメートルの“肉塊”を生産する基礎技術を確立する計画。イスラエルのスーパーミート(Super Meat)やオランダのモサミート(Mosa Meat)、米国のメンフィスミーツ(Memphis Meats)など、培養肉の研究が爆速で進む世界を見渡しても、厚みを伴う培養ステーキ肉の技術開発は異例で、日清食品HDと東京大学はトップランナーと言える存在だ。
日清食品の主力商品「カップヌードル」に使われるサイコロ状の具材“謎肉”は、大豆由来の素材と豚肉などを掛け合わせた“大豆ミート”であることで知られる。開発中の培養ステーキ肉は、まさに人類にとって未知の食料であり、文字通り近未来の“謎肉”である。では、なぜ日清食品HDが、植物肉より実現のハードルが高い培養肉の研究を進めているのか。
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