コロナ禍で長引く巣ごもり生活を少しでも楽しんでもらおうと、自宅に居ながらイチゴ狩りが楽しめるサービスを開始した会社がある。AR(拡張現実)プラットフォーム「ARaddin」(アラジン)を展開するZEPPELIN(ツェッペリン、東京・渋谷)だ。電通デジタルやKDDIと協業し展開するARaddinを活用し、3Dで描いた商品を色々な角度から眺めて購入できる斬新なECサービスで新市場の創出に挑む。

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため緊急事態宣言は5月いっぱいまで延長されることになった。ゴールデンウイーク期間中、家族連れでにぎわうはずだった観光地やレジャー施設は閑散とし、自宅近くの商店なども営業自粛が大半。安心して買い物を楽しむことができるのは、当分先のことになりそうだ。
そんな閉塞感をデジタル技術の活用で軽減しようと名乗りを上げたのがZEPPELINだ(参考記事「ARとAIを活用 ZEPPELINが新しい3次元広告事業に挑む」)。
同社はARaddinというARプラットフォームをベースに、消費者が自宅に居ながら、ARを活用して楽しく買い物ができるECサービス「ARマーケット」を2020年5月2日に開始した。
スマートフォンに専用アプリをダウンロードした後、アプリを立ち上げて自宅の空間にスマホをかざすと、ショップが現れる。そのショップをクリックして入店すると、商品が3次元で空間に浮かび上がる仕組みだ。そして、商品を空中で回転させて全体を確認するなどして、気に入ったらそのまま注文できる。
ARマーケットの第1弾はイチゴ狩りだ。スマホを通して、部屋に浮かぶように出現するイチゴの中から、好きなイチゴをタッチすると収穫できるという仕組みだ。宮城県でイチゴ農園を手掛ける農業生産法人GRAと提携しており、イチゴを“収穫”してARマーケットから注文すると、GRAの販売網を経由して、自宅にイチゴが届く。
4~5月はイチゴ狩りのシーズンだが、コロナ禍でイチゴ狩りを楽しむことができない状況。スマホを使って自宅でイチゴ狩りを楽しんでもらう機会をつくるとともに、来園者が激減しているイチゴ農園を救済する狙いがある。
ZEPPELIN社長の鳥越康平氏は、「新型コロナの感染拡大により、実店舗は売り上げを上げることが難しくなっている。一方、在宅学習や在宅勤務により人々のストレスはかなり増えていると聞く。この危機的状況を改善するために、感染の危険性をできる限り下げることができて、かつ、自宅からの購買体験をもっと楽しいものにしていくために打ち出したのがARマーケットだ。ARaddinが新たな販路となり、倒産企業を1社でも減らすために、この新しいビジネスに挑戦していく」と意気込みを見せる。
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