クルマに乗ったまま、3分間で査定が終わる。全国で中古車販売店「ガリバー」を展開するIDOM(旧ガリバーインターナショナル)が2020年4月28日、香川県の店舗に「ドライブスルー査定」を導入する。新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化する中、非対面、非接触を売りにした新サービスは、眠った需要を掘り起こせるか。
AIが査定額を算出、DXの実験店に
香川県高松市の「ガリバー高松中央通り店」。レーンの矢印に沿ってクルマを走らせると、ポスト型の「査定ステーション」が見えてくる。真横に停車して窓を開ける。マイクに向かって、車検証や車両の情報を伝えると、3分後には、AI(人工知能)がはじきだしたという査定額がモニターに表示される──。
ファストフード店でおなじみのあのドライブスルーが、中古車販売店に導入される。サービス名は「ガリバー ドライブスルー査定」。リアル店舗とデジタルを融合したDX(デジタルトランスフォーメーション)の実験拠点となる。
IDOMは19年9月、中古車査定アプリ「Gulliver AUTO(ガリバーオート)」をリリースした。愛車をスマホで撮影し、グレードや修復歴、オプションの有無などの情報をタップして送信すれば、AIが査定額をはじき出す。このガリバーオートの「AI査定」をドライブスルーへ横展開したのだ(関連記事「「苦行」中古車査定に新風 ガリバーオート好評の裏にAI×人力」)。
ドライブスルー査定では、ガリバーオートをダウンロードせずとも、立ち寄るだけで査定額を確認できる。査定後は、そのまま帰るもよし、店舗スタッフが音声対応しているため、その場でクルマの困りごとを相談するもよし。モニターにはQRコードが映し出され、スマホで読み取ると店舗のLINEアカウントに飛び、査定結果を保存できる仕組みだ。忙しい人や高齢者でも利用しやすいよう、スピードと手軽さを前面に押し出した。
査定と売却手続きを分離「来店のハードルを下げる」
なぜ、ドライブスルーなのか。開発を担ったガリバー四国岡山事業部の山下順平事業部長は「『来店したら売却の意思決定をしなければならない』という不安、心理的なストレスを軽減したかった」と語る。
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