著書『アフターデジタル』『アフターデジタル2』で日本企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)のあり方について提言を続けるビービット藤井保文氏が、先進的なDXを実践している企業の経営幹部や、同じ未来を見据える識者を直撃する対談連載。今回は、ビービット主催の企画「AFTER DIGITAL TALK」より、Takramの佐々木康裕氏をゲストに迎えたオンラインセッション「D2C×アフターデジタルの世界観づくり、UXづくり」の模様をお届けする。
ビービット 藤井保文氏(以下、藤井氏) ビービットでは、アフターデジタルの世界への理解を深めていただくために「AFTER DIGITAL CAMP」という企画を継続的に実施しています。今回新たに、私が「同じ世界や未来を見る同志」だと思う方をお招きする対談企画「AFTER DIGITAL TALK」を始めることになり、初回のゲストにTakramの佐々木さんをお迎えしました。
『アフターデジタル』は、中国を中心にデジタル浸透時代を描いた本ですが、佐々木さんの書かれた『D2C』は米国側から見たデジタル浸透時代の本だと思いました。両方の視点を持つことで、世の中を俯瞰(ふかん)し、また補完的に見られるだろうと、今日のお話をとても楽しみにしていたんです。
Takram 佐々木康裕氏(以下、佐々木氏) 私もです。藤井さんの本と私の本は、周囲にも“兄弟本”といわれるくらい親和性があると受け止められているんですが、実は執筆時に大いに参考にさせていただきました。OMOやO2Oといった領域が活性化してくる中、ネットサービスそのものを考えるのに米国だけ見ていても不十分だな、と思っていたときに発売された本だったんです。もっともマーカーを引いた本の1冊です。
藤井氏 うれしいですね! まず、今携わられているお仕事についてうかがえますか?
佐々木氏 Takrumというクリエイティブエージェンシーで、主に新規事業の企画から実現に携わっています。この数年で、いくつかD2C事業の立ち上げをご支援する機会があり、例えばFABRIC TOKYOさんのデニムブランド「STAMP」や、乳酸菌サプリ「KINS」、丸井さんのD2C戦略子会社「D2C&Co.」のサポートなどがあります。また、個人的にメディアや新しいブランドのあり方に興味があるので、キュレーションメディア「LOBSTERR」の運営などもしています。
Takram ディレクター/ビジネスデザイナー
藤井氏 ありがとうございます。まずD2Cの定義について、少しお話したいと思います。Direct to Customerの略なので、「直販」「中抜き」といった意味合いで理解されていることも多いですが、直接つながるという意味では全くないと思っています。
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