前回、様々なデータを収集・管理するための基盤となる「CDP」と「DMP」の活用について学びました。今回は一歩進めて「マーケティングデータ基盤の活用方法」をテーマに、実際にどのようにCDPやDMPをコミュニケーションに活用していけばよいのかについて理解を深めていきます。

「CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)」や「DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)」はコミュニケーションツールと連携させることで、様々なチャネルを通じて生活者にアプローチ可能になる(画像提供/博報堂)
「CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)」や「DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)」はコミュニケーションツールと連携させることで、様々なチャネルを通じて生活者にアプローチ可能になる(画像提供/博報堂)
今回学ぶマーケティング用語
「マーケティングデータの活用方法」

 「CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)」や「DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)」で蓄積したデータを組み合わせて顧客の解像度を高め、さらに顧客のセグメンテーションを行ってターゲットに対して具体的にアプローチするには、まず生活者との直接的な接点を支えるコミュニケーションツールへの連携が必要となります。

 CDPやDMPは、様々なコミュニケーションツールと連携が可能です。主なツールとしては、顧客との商談状況などを可視化し営業活動に生かすための「営業支援ツール(SFA)」や、あらかじめ設計したシナリオに基づいてメルマガなどで配信する「マーケティング・オートメーション・ツール(MA)」、そしてデジタル上で興味関心の高いユーザーにターゲットを絞って広告配信を行う「広告配信ツール(DSP:Demand-Side Platform)」などがあります。

 これらのツールを通じて、店舗やコールセンターなどのリアルなチャネルや、メールや自社サイトなどのデジタルなチャネル、パソコンやスマートフォン向けのデジタル広告など、様々な顧客接点でデータを利用できるようになります。

コミュニケーションツールでのアプローチ方法の考え方

 では、どのようにこれらのツールを取捨選択して最適なアプローチ手法を設計していけばよいのでしょうか。

 主なアプローチには2種類あります。1つは、自社の顧客になりそうな「ポテンシャル層を発掘していく」というアプローチ、もう1つが「見込み客および既存顧客を育成していく」というアプローチです。

 前者の「ポテンシャル層の発掘」では、新規の顧客層を開拓するため主にDSPツールなどのデジタル広告配信ツールを活用するのが有効です。マーケティングデータ基盤を通じて、直接狙ったターゲットへアプローチすることも可能です。また、DSP(もしくは付随するDMP)の中にある膨大なオーディエンスに関するデータの中から機械学習などの手法で効率的に自社顧客に近いターゲットを発掘することも可能です。

 この手法は、「Look Alike」または「オーディエンス拡張」と呼ばれます。例えば、自社の不動産物件の購入者データを基に、行動パターンが似ていて関心のありそうなターゲットを探すのです。

 後者の「見込み客および既存顧客の育成」では、主にMAツールと連携させてメルマガやサイトでレコメンデーションを行って顧客を育成します。顧客タイプを分類したり、セグメンテーションによって見込み度合いである「HOT度」によるランク分けをしたりして適切なシナリオを設計します。その上で、商品をトライアル利用しているなら本契約へ移行させたり、別の商品をクロスセルさせたりします。

 不動産物件の購入をしてもらうのが目的で、HOT度によるランク分けをするなら次のようにします。結婚や出産といったライフイベントが発生したタイミングを購入の兆しと捉えて「HOT度低ランク」、競合を含めた物件情報サイトを閲覧し始めたタイミングは「HOT度中ランク」に、自社の物件情報サイトを一定の頻度で閲覧し始めたタイミングは「HOT度高ランク」といった具合です。

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