今回は「マーケティングマネジメント」を取り上げます。そもそもマーケティングマネジメントとはどんなものなのか。そしてその概念がこれからどうように変わっていくのかについて説明していきます。

これまで説明してきた一連のマーケティングプロセスを、効果的かつ効率的に進めるための管理手法、それがマーケティングマネジメントだ(画像提供/博報堂)
これまで説明してきた一連のマーケティングプロセスを、効果的かつ効率的に進めるための管理手法、それがマーケティングマネジメントだ(画像提供/博報堂)
今回学ぶマーケティング用語
「マーケティング・マネジメント」

 マーケティングマネジメントとは、これまで説明してきた一連のマーケティングプロセスを、効果的かつ効率的に進めるための管理手法です。

 マーケティングで最初に行うのは、「ターゲットマーケティング」と言われるマーケティング“戦略”を立てる手順です(第2~第6回で紹介)。その後「マーケティングミックス」と呼ばれる4Pの組み立てによってマーケティング“戦術”を組み立て(第7~12回)、さらに4Pの中のプロモーションを細分化した「プロモーションミックス」と呼ぶ具体的なマーケティングの作戦を実行していく(第13回で紹介)という順に進みます。

 こうした一連の手順をマネジメントするためには、3つのことが重要です。(1)「マーケティング計画と予算管理」(マーケティングの目標を定義し、達成状況を数値化して適切な予算配分の実施する)、(2)「マーケティング情報システム」(市場状況や販売状況、競合状況などを把握するための情報収集・分析システムを整備する)、そして(3)「マーケティング組織」(円滑に実行するために従業員の組織や評価の仕組みなどを設計・管理する)――です。これらをうまく遂行せることこそが、マーケティングマネジメントです(i)

 しかしながら、このような全体観に基づいたマネジメントがうまく実行されないことが多いのが現実です。例えば一つが、「戦略」「戦術」「作戦」の順番通りに進まないケースです。いきなり4Pのような戦術を考えてしまったり、プロモーションアイデアの作戦を考えたりしてしまうことは、マーケティングの世界ではよくあります。もう一つは、順番に進んだとしても戦略と戦術、作戦がうまく連携しないケースです。戦略が曖昧だったばかりに、戦術も“総花的”なものになってしまうのは典型例でしょう。

 今後のマーケティングマネジメントを考える上では、以上2つの大きな障壁をどう乗り越えるかが課題です。

2つの視点から未来を考える

 本講座ではこれまで紹介してきたようにマーケティングそのものが今激変しつつあります。当然、マーケティングマネジメントも変化に合わせて進化しなければなりません。そこでここからは、マーケティングマネジメントの未来について2つの視点から考えてみたいと思います。

 まず1つ目の視点は、組織の横断化です。マーケティングは現在、製品・サービスの開発に始まり生活者に向けたアフターサービスに至るまで、一連の企業活動をけん引する重要な役割を担いつつあります。故にマーケティング組織には、関連部署を全体最適化する視点で横断的に見渡す位置づけが求められています。様々な部署が関わりながら途切れなく業務を遂行するには、マーケティングに携わるメンバー全員が“動きやすくなる”目標を設定しなければなりません。組織の活動を円滑にする目標と言い換えてもいいでしょう。

 2番目の視点は、事業やブランドの存在意義(ブランドパーパス)や体験価値(ブランドエクスペリエンス)につながる価値を創造するアイデアを創出することです。これからのマーケティングは、ブランドパーパスやブランドエクスペリエンスが重視されるようになります。結果として、マーケティングの目標は「売り上げを何%上げる」「ブランド認知率を何%上げる」といった自社都合の事業目標だけではなく、「生活者に対する価値をどう高めるか」という生活者の価値によりそったマーケティング目標を設定しなければなりません。

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