今回は、「統合マーケティングコミュニケーション(Integrated Marketing Communication)」についてのお話です。マーケターの間では、英語の頭文字をとった「IMC」と略されてよく使われます。この機会にしっかりと学びましょう。
IMCの説明に入る前に、まず「プロモーション」について説明をしておきましょう。プロモーションとは、マーケティングの基本要素4P(「プロダクト」「プライス」「プレイス」「プロモーション」)の1つであり、商品の販売を促進する活動の総称です。広告やPR活動、サンプリング、自社ホームページやSNS(交流サイト)でのアピール、店頭でのセールスマンの売り込みなどはいずれもプロモーションです。
プロモーションを成功させるためには、生活者に一方的に情報伝達するのではなく、生活者との間でコミュニケーションを成立させる必要があります。
IMCとはその名の通り、コミュニケーションのコンセプト「What to say(何を言うべきか)」がそれぞれのタッチポイントでバラバラにならないように統合して設計することです。もう少し具体的に言えば、複数のメディアからブランドのメッセージを受け取った生活者が、こちらが意図していた通りのブランドイメージを持てるよう、それぞれのメディアの特徴を生かしながらコミュニケーションを設計することを指します。
設計のポイントは「効率化」と「コンテンツ力」
そもそもIMCという考えは、デジタル広告が台頭したことによって急速に広まりました。活用できるメディアが増えたことによって、どのメディアを選択し、どう予算配分するかを考える必要性が出てきたからです。さらにマス広告では伝えられなかったブランドの魅力を届ける手段として役立つとの期待から注目されるようになりました。
オンライン上のコミュニケーション(デジタル広告やホームページなど)は、メディアごとのターゲット含有率などの多くのデータを入手できます。そこで技術の進化に伴って、単に最適にIMCで予算配分することから、ターゲティング(届けたい人に確実に届ける)精度を高めることへと役割の中心が移行していきました。
今も「予算配分」と「ターゲティング精度」を踏まえて、効率的なコミュニケーションを実現すべくIMCはますます進化しています。
マス広告では伝えられなかったブランドの魅力を届けることについては、当初ブランドの詳細情報まで網羅的に伝えることがIMCに期待されていました。しかし、どんなにターゲティングの効率を高めて様々なメディアで情報を発信しても、結局生活者は興味がそそられ自分が欲しいと思える情報にしか振り向かないものです。その結論を得て現在は、ターゲットが興味関心を持つコンテンツを作ることへの関心が高まっています。当たり前に感じるかもしれませんが、企業側が伝えたい情報と生活者が欲しい情報をマッチングさせるのは結構難しいものです。
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