マーケティングの「新しい姿」を展望する本連載。第2回では、事業戦略やマーケティング戦略を考える際に避けては通れない「環境分析」を取り上げます。自社が置かれている環境変化を正しく理解できれば、課題設定がスムーズになり、効果的なマーケティング戦略立案も可能になります。今の時代にあった環境分析を教えましょう。
環境分析という言葉を聞いて、皆さんはどういうことを思い浮かべるでしょうか。新人マーケターは、たいてい先輩に次のようなことを言われてしまいがちです。「君、これは単なる整理で、分析になっていないよ」「残念。誰もが知っていることだらけで、発見が少ないなあ」。ベテランマーケターが必ず持っているものこそが、環境分析の視点です。昨今市場環境は複雑化していますから、マーケティングの起点となる環境分析がますます重要になっています。
では具体的に、どのような環境を見ていくべきでしょうか。企業の経済活動全ては、常に環境の影響を大きく受けています。規模の大小にかかわらず、市場や顧客からの影響をくみ取らない限り、モノもサービスも売ることはできません。まず初期の段階では、「外部環境」と「内部環境」と2つに分けて分析するのが一般的です。
外部環境とは具体的に、「マクロ環境(政治、経済、社会、技術)」「ミクロ環境(市場、生活者/顧客、競合)」などを指し、もう1つの内部環境は「経営資源」「自社の強みと弱み」「企業文化」などを指します。
最も基本的なフレームワーク
外部環境と内部環境を整理するフレームワークとしてよく知られているのが「SWOT分析」です。内部環境である「自社の強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」、そして外部環境である「機会(Opportunities)」「脅威(Threats)」の4つを分析するものです。機会という単語が分かりにくければ、「追い風」と考えてください。もう1つの脅威が分かりにくければ「向かい風」、もう少しかみ砕くなら「トレンド」「ブーム」「社会潮流」と捉えると分かりやすいでしょう。
SWOT分析を考える順序は、まず外部環境を広く見た上で、次に自社の良い点・悪い点を考えるのが効率的だといわれています。自社の強みや弱みが外部環境に大きく影響を受けるからです。
例えば自動車業界を例に見てみましょう。高齢者ドライバーの事故増加や若者の車離れなどの懸念(外部環境)が考えられます。ですから、事故の増加や若者対策に対応した商品やサービスを自社が持っているのか調べてみれば、強みや弱みを考えやすいでしょう。
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