米ウォルト・ディズニー・スタジオのSVOD(ストリーミング型の定額制映像配信)サービス「Disney+(ディズニープラス)」が、日本でも2020年6月11日に始まりました。もともとディズニープラスの非英語圏での立ち上げは、2020年以降とだけ説明されていました。突如立ち上げタイミングが大幅に繰り上げとなった形です。

「Disney+(ディズニープラス)」「HBO Max」……。相次ぎハリウッドスタジオがSVODサービスを開始する裏側にある緻密なディストリービューション戦略を今回はひもとく(写真/Shutterstock)
「Disney+(ディズニープラス)」「HBO Max」……。相次ぎハリウッドスタジオがSVODサービスを開始する裏側にある緻密なディストリービューション戦略を今回はひもとく(写真/Shutterstock)

 ディズニープラスは、24年度までに6000万~9000万契約を獲得するというのが当初計画でした。ただ、20年5月時点で既に5400万契約を超えたと発表。このまま行けば目標を4年も早く達成することになりそうです。

 ディズニー傘下で800万契約を抱えるインドのSVODサービス「ホットスター(HotStar)」が20年4月に全契約者に対してディズニープラスを配信開始しましたし、欧州で配信開始した20年3月の初日には視聴アプリが500万ダウンロードを記録しました。「ディズニー」「ピクサー」「マーベル」「スター・ウォーズ」「ナショナル ジオグラフィック」など幅広い人気を誇るコンテンツに対して消費者が期待を寄せていたことが躍進の大きな理由と思われます。

ワーナーも「HBO Max」を開始

 一方20年5月27日、もう1つのSVODサービス「HBO Max」が米国内でスタートしました。米ワーナー・ブラザース・エンターテイメントの各種映画や「フレンズ」などのドラマ、「DCコミック」の実写化作品など、こちらもコンテンツの豊富さ故に前評判の高かったサービスです。米HBOが提供する有料ケーブルテレビや、「HBO Now」という先行ストリーミングサービスを契約している人なら移行できたのも強みとされました。

 ところが、正確な総契約者数は分からないものの、視聴アプリのダウンロード数は初日に8万7000程度にとどまり、他の同社のサービス立ち上げ時に比べて華やかさに欠けました。原因の1つとして、セットトップボックス「ロク(Roku)」に対応しなかったことが挙げられます。米国で圧倒的なシェアを誇るロクは、20年5月時点で約4000万人が購入または搭載済みテレビを使っているサービスです。「ネットフリックス」「ディズニープラス」などがコロナ禍の中で契約者数が急増し、ロクもその恩恵を大きく受ける形で利用者数を伸ばしました。

 またHBO Maxは、「アマゾン・プライム・ビデオ」にある有料の「チャンネル」機能に登録されなかったことも初動が伸びなかった原因です。HBO Nowの場合、800万契約のうち50%程度をチャンネル経由の契約者に依存していました。

 米国では特に利用者が急増している「アマゾン・プライム・ビデオ・チャンネル」もロク同様、様々なSVODサービスにアクセスできるポータル機能を提供しています。アマゾンにあらかじめクレジットカード情報を登録している顧客に対して、手軽に契約できる点をアピールできるだけに、HBO Maxも早期にアマゾンとチャンネルに関する契約にこぎ着けることが急務とされています。

プラットフォームサービスとSVODサービスの関係
プラットフォームサービスとSVODサービスの関係
「ディズニープラス」や「HBO Max」などのSVODサービスは、様々なプラットフォームサービスと連携している

 契約者数次第で株価が大きく左右されるSVODの世界で特に重要なのが、「ディストリビューション戦略」です。ディストリビューション戦略とは、単にパソコンやスマートフォンで自主的に消費者がアプリをダウンロードするかウェブサイト経由で契約するか以外のタッチポイントを用意することで、契約者数をより多く獲得するための戦略です。

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