ハリウッドがコンテンツビジネスで常に世界に君臨し続けられる本当の理由を、私たち日本人のほとんどは知らない。本連載では、17年間インサイダーとしてハリウッドビジネスに関わった元ウォルト・ディズニー・ジャパンの田中 ハリー 久也氏が、ハリウッドの強さの根源をひもとく。1回目は、体制や人材登用の秘密を見ていく。

2020年のアカデミー賞で話題を振りまいた2作品を見ると、現在のハリウッドビジネスの状況を映し出す「表」と「裏」の顔が浮かび上がる(写真/Shutterstock)
2020年のアカデミー賞で話題を振りまいた2作品を見ると、現在のハリウッドビジネスの状況を映し出す「表」と「裏」の顔が浮かび上がる(写真/Shutterstock)

 映画業界で最大の影響力を持つ「アカデミー賞」。米国ではオスカーと呼ばれるこの賞ですが、2020年の今年は良い意味で衝撃的な結果が日本でも大きな話題となりました。韓国映画「パラサイト」が脚本、監督、国際長編映画、そして最高峰の作品賞までとったからです。

 一方、公開直後から大きな反響を呼んでいたクエンティン・タランティーノ監督の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」も、俳優のブラッド・ピットさんがこの作品でアカデミー賞助演男優賞に選ばれました。他の主要な映画賞でも助演男優賞を総なめにしており、こちらも話題を振りまきました。

 別々の世界を描いた2つの作品ですが、実は現在のハリウッドビジネスの状況を映し出す「表」と「裏」の顔となっている点は見逃せません。これまで外国映画、特に欧州ではなくアジアの映画で、しかも字幕で見なければならない作品は作品賞などはとれないと言われていました。今回パラサイトが受賞したことは、ハリウッドの受容性の高さを示すものでしょう。ひいては、米国文化の最先端や未来を象徴する結果だったとも言えます。

 パラサイトが表だとすれば、もう1つのワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドは、いわばハリウッドの裏です。ハリウッドの過去を描いたこの作品が人気となったのは、過去へのリスペクトや憧れを象徴していた部分が大きかったためだと思います。実際現在のハリウッドには、今も当時の香りが残っている部分があるように筆者は感じています。

 申し遅れましたが筆者は、ウォルト・ディズニー・ジャパンに弁護士資格を持つ初の社員として17年前に入社して、エンターテインメント業界でのキャリアをスタートさせました。2年後に法務から事業部門に異動して以来、テレビ配給やホームビデオ、モバイルアプリ、そして映画配給などウォルト・ディズニー・ジャパンの主要事業の責任者を歴任してきました。

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