新型コロナウイルスの感染拡大を受け、世界的なリセッション(景気後退)が懸念されている。日本国内でも海外からの観光客が激減し、人やモノの移動が減少。観光産業や小売業は早くも大きなダメージを受ける一方で、スーパーマーケットの景況感は大幅に改善している。本稿ではビッグデータから足元の動向と今後の傾向を予測する。
ジェーシービー(JCB)とナウキャスト(東京・千代田)が提供している指数「JCB消費NOW」のデータによれば、2020年2月における新型コロナウイルスの影響は、業種によって大きな違いが表れた。JCB消費NOWは、JCBが無作為抽出した約100万人分のクレジットカードの決済データや属性などのデータを活用して両社が共同で消費動向を調査するものだ。2月は「旅行」「交通」「宿泊」が大きくマイナスとなった一方で、スーパーマーケットの大幅な伸びが目立った。
スーパーマーケット景気動向調査とも整合性あり
20年3月23日に全国スーパーマーケット協会などが発表したスーパーマーケット景気動向調査によれば、2月のスーパーマーケット中核店舗における景気判断DI(現状判断)は前月から5.1ポイント増の48.0となり、前月から大幅に改善している。JCB消費NOWのデータと整合性がとれる結果だ。
同資料における経営動向調査を見てみると、売上高DIは前月のマイナス9.0から23.1ポイント増の14.1となり、景気判断DI以上に大幅に改善している。今年20年がうるう年であった“カレンダー要因”もあると考えられるが、来客数DIと客単価DIがともに大幅に上昇していることを考えれば、うるう年以外にも大きく寄与した要因があると考えられるだろう。
では次に、ナウキャストが提供している「日経CPI Now」のデータを用いて、何がスーパーマーケットの売上高に大きく寄与したかを見ていこう。日経CPI Nowでは、全国の食品スーパー1200店舗のPOS(販売時点情報管理)データを基に日次の物価や売上高を算出している。
この記事は会員限定(無料)です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー