「誰でも簡単にアイデアを量産し、ユニークな企画を次々と生み出す秘訣」を伝授する連載企画。最終回はこれまでに紹介してきたエッセンスを振り返りながら、現在進行形で取り組んでいるプロジェクトと、これからの時代の企画に求められていることについて紹介する。
本コラムでは、アイデアを生み出すところから、企画を作り、関係者に提案し、世の中に送り届けるところまで、企画にまつわる基本を一通りお話ししてきました。第1回にお伝えした通り、「こうすればうまくいく」という成功モデルは存在しません。
ただ、今まで自分自身で企画をしてきて、いろいろな人の企画も見てきた中で、逆に「こうすればうまくいかないことが多い」という経験則はあるように感じています。本コラムでは、知らず知らずのうちにハマりがちな落とし穴や、落とし穴の避け方について紹介してきました。最終回は、そのエッセンスを振り返りながら、私が現在取り組んでいるプロジェクトについてもお話ししたいと思います。
アイデアを出しにくくしているのは、自分自身
第1回は、アイデアを量産するためのマインドセットについてお話ししました。「アイデアがさっぱり出てこない」「なぜそんなにアイデアがポンポンと出てくるのか分からない」という悩みは、本当によく見聞きします。
アイデアという言葉が持つクリエイティブなイメージ、「天から降りてくる」と称されるような高尚なイメージが相まって、本来は思いつきでしかないアイデアが出しにくいものになっています。この感覚は、絵の苦手な人が絵を描いてと言われるときのものと近いです。しかし、何一つ描けないということはないはずです。うまくやろうとするから、自滅してしまうのです。意識してか、あるいは無意識なのか、“素晴らしいアイデア”を出そうとしているのではないでしょうか。
そんなバイアスを強制的に外すための2つの言葉を紹介しました。1つは、「良い、悪いは置いておいてさ」という言葉です。この言葉を頭に付けることで、「良いアイデアを出そう」「このアイデアはどうせ面白くない……」といった意識を取り払うことができます。
もう1つが、「できるわけないんだけどさ」という言葉です。どうせできないからとアイデアをボツにしてしまうのは、本当にもったいないです。むしろ、できもしない前提から考えたアイデアのほうが、確実にできる保証があるアイデアよりも、よほど面白いことが多いのです。
アイデア出しの工程は、良しあしや実現可能性を検証する工程と分けなくてはなりません。その工程が一緒になりがちなのは、複数人でアイデア出しをするときです。仮に自分がアイデアを発散させていても、「それってどこが面白いの?」「面白いけど、それってできないでしょ?」というツッコミが入った瞬間、途端にアイデアの元栓がキュッと締められてしまいます。
言葉のすごさは、それを口にすると力を持つことです。「良い、悪いは置いておいてさ」「できるわけないんだけどさ」から話し始めてみてください。そうすると、良しあしを気にすることがなくなり、過去に実現している見慣れたアイデアは逆に出にくくなることに気が付きませんか?
アイデアマンとされる人は、口にせずとも、そのマインドが備わっているんだと思います。ただ、自分はそうではありませんでした。自分のアイデアを披露するときは、いまだに少し萎縮してしまいます。なので、言葉の力を借りて自己暗示をかけることで、アイデアマンの発想術をインストールしています。
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